スペワ跡地に賑わい取り戻せるか アウトレット&新科学館が22年開業(後)
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2020年04月08日 12:08

スペワ跡地に賑わい取り戻せるか アウトレット&新科学館が22年開業(後)

観光入込客数に大打撃“スペワロス”如実に

 「またいつか、別の星で、会いましょう。」――スペースワールドは17年12月31日をもって、市民を始めとした多くのファンに惜しまれつつも閉園を迎えた。

施設解体がほぼ完了したスペースワールド跡地
(20年3月撮影)

 “ラストイヤー”となった17年は、平日でも多くの来場者でにぎわいを見せていた。週末や祝日ともなると、正面エントランスには長蛇の列ができ、アトラクションは、多いときで1時間を超える待ち時間となるなど、最盛期を思わせる盛況ぶりだった。事実、最終年の入場者数は190万人を超え、テーマパークとしては「東京ディズニーリゾート」(千葉県浦安市)、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(大阪市此花区)、「ハウステンボス」(長崎県佐世保市)についで、全国4位にまでなったという。だが、それだけに、閉園後の反動には地元からも懸念の声が上がっていた。

 北九州市観光動態調査によると、八幡東田地区への地区別観光客数(延べ人数)は16年に約221万人で、市全体での約1,635万人のうち、13.5%を占めていた。それが、閉園発表後の17年には、ファンらの駆け込み来園もあって約254万人にまで急増。市全体の観光客数約1,682万人のうち15.1%を占めるほどだった。ところが、閉園後の18年には約73万人へと約3分の1以下にまで激減。市全体に占める割合も4.9%にまで落ち込んだうえ、市全体の観光客数も約1,501万人へと減少するなど、北九州市の観光にとっても大きなダメージとなった。

環境共生型の未来都市としての側面

 90年4月の開業以降、スペースワールドが八幡東田地区の“顔”となっていたことには相違はないだろう。だが一方で市では、区画整理を始めとした周辺の開発も並行して進めてきている。

 スペースワールド敷地周辺の広大な未利用地を有効活用するため、市では93年12月に東田土地区画整理事業を決定。施行面積107万5,985m2に対して、総事業費4,677億1,800万円をかけて、道路などのインフラを含めた基盤整備を行い、業務・商業・住宅などが複合した次代を担う新たな都市拠点を形成すべく、企業誘致などを推進してきた。

 また、同地区では、01年に地方博覧会「北九州博覧祭2001」を開催。そのパビリオンを再利用するかたちで、02年4月に環境に関する展示・体験施設「北九州市環境ミュージアム」が開業したほか、同年11月には小倉北区にあった「市立歴史博物館」と「市立考古博物館」、八幡東区のJR八幡駅の旧駅ビル内にあった「市立自然史博物館」を移転・統合して「いのちのたび博物館」(正式名称:北九州市立自然史・歴史博物館)が開業した。また、07年4月に「北九州イノベーションギャラリー」(正式名称:北九州産業技術保存継承センター)も開業し、同エリアで博物館系施設の集積が進んだほか、博覧祭跡地を整備して、大型商業施設「イオンモール八幡東」が06年11月に開業。こうして、スペースワールド周辺エリアでの整備も進んでいった。

 さらに八幡東田地区は03年に国から「環境共生まちづくりモデル地区」に指定され、同年、「八幡東田グリーンビレッジ推進地域協議会」が設置された。「職・住・学・遊が融合し進化する“パークコンプレックスシティ”の実現」を掲げ、臨海部を含む東田地区約120haで、住居や商業施設、オフィス、交通、エネルギー対策、廃棄物対策、コミュニティなどが複合した環境共生型のまちを創出していく構想だ。

 また、東田地区は「北九州スマートコミュニティ創造事業」の実証実験が実施されるなど、環境に対する先進的な取り組みを実証する場としても活用されている。あまりに存在感の大きいスペースワールドの陰に隠れてはいたものの、実は八幡東田地区は、かつての“ものづくりのまち”の系譜を受け継いだ“未来都市”として、新たな進化を遂げようとしていたのだ。

鳥瞰パース
(※イメージです。変更になる場合があります。提供:イオンモール(株))

新科学館移転、地域の魅力向上に弾み

 そんな八幡東田地区では、冒頭に紹介したイオンモールのアウトレット施設だけでなく、また新たな魅力が誕生しようとしている。

 北九州市は、八幡東区の桃園公園内にある「北九州市立児童文化科学館」について、前述の「THE OUTLETS」のエンターテイメントエリア内に、22年以降に移転新設する計画を発表した。「新科学館」は3階建てで、延床面積は約5,470m2。建物はイオン側が建設し、展示を含めた内装については市が整備を担当。最新鋭のプラネタリウムを始めとした最新機器を導入し、科学の面白さを体感できる施設にしていく方針だ。総事業費は約28億円を見込んでいる。

 福岡市でも、中央区舞鶴にあった「福岡市立少年科学文化会館」を、施設老朽化にともなって移転を検討。その後、九大・六本松キャンパス跡地に開発された商業施設「六本松421」内に、17年10月に「福岡市科学館」として移転・開館した。九州最大級のドームシアターや多彩なイベントなどが好評を博し、多くのリピーターも獲得。開館からちょうど2年後の19年10月には、想定より3年も早く来館者数250万人を達成した。北九州市の新科学館でも福岡市科学館と同様に、開業後には地域に新たな魅力を付加することが期待されている。

 北九州市の新たなランドマークとして、西日本最大級のアウトレットと、その敷地内に移転新設される新科学館が、スペースワールドに代わる誘客力を発揮できるか――。エリアの“顔”であったスペースワールドを失った八幡東田地区が今後、どのように変貌を遂げていくのか、エリアとして再生できるのか、その行方が注目される。

(了)

【坂田 憲治】

 現在の児童文化科学館は老朽化が著しいことから、八幡東区東田地区のスペースワールド跡地のイオンモール新施設敷地内に移転新設することとしています。新科学館には、西日本最大のドーム径30mを誇る最新鋭のプラネタリウムや高さ約10mの竜巻状の気流を発生させる国内最大級の装置などを計画しています。
 東田地区には、いのちのたび博物館(自然史・歴史)や環境ミュージアムなどの博物館群が集積しており、ここに新科学館が加わることにより、国内有数の博物館エリアが形成されることになります。商業施設も含め、地区内の各施設と有機的な連携を図ることにより、まちの魅力を高め、市内外から多くの方に来ていただきたいと考えています。

北九州市子ども家庭局・青少年課

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