2024年04月26日( 金 )

「批判はやめよう」叫ぶ権力に媚びる御用芸人

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は「いま政治が最優先すべきことは生存権の保障」と訴えた4月13日付の記事を紹介する。


 民主政治の基本は「民衆の民衆による民衆のための政治」である。

 為政者は民衆に成り代わって行政を司っているのであり、行政は民衆の厳粛な信託によるものであって、その権威は民衆に由来する。税金は民衆のものであり、税収を何にどのように使うのかを決定する本源的な権限は民衆にある。「損失の補償に税金は使えない」などと安倍首相が決定する権限など存在しない。

 主権者である民衆が政府の役割を決定した。その重要な役割に生存権がある。主権者である民衆は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」ことを憲法で定めた。国家はすべての国民の生活を保障する責務を負っている。

 コロナウイルスの感染拡大で国民生活が破壊されている。この状況下で国民の生存を保障することは政府の責務であって、「損失を補償するために税金を使えない」などと判断する権限を内閣総理大臣は付与されていない。財政支出をどのようにするかについては政府が議会に提案し、議会が決することなのだ。

 国民の生命、健康、生活を守らない政府に存在意義はない。危機に直面して貴重な財源を最適なかたちで国民生活支援に提供しない政府なら、主権者である民衆は、そのような政府を排除すべきだ。

 「分断が生じないよう政府を批判するな」の主張は権力者に対する媚びへつらい以外の何者でもない。公共の電波でこのような御用発言を示す芸人の姿には虫唾が走るこのような局面で素性が露わになる。

 旧日本軍の劣悪さは誰もが知るところだが、いくつかの代表的事例について研究者が分析して一冊の書物にまとめた。1984年刊行の
失敗の本質
 野中郁次郎氏らによる旧日本軍の戦史研究書である。

 ノモンハン事件、太平洋戦争におけるミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ沖海戦、沖縄戦などが分析の素材として取り上げられた。インパール作戦では9万人以上の兵力が投入され、7万2,000人が死亡。その大半が戦病死であったとされる。

 熱帯雨林の過酷な環境下で前線の兵士は兵站も補給されずに、虫けら同然に殺害された。殺害したのは無能な上層部である。無能な上層部は前線の兵士が飢餓と疫病で生死の境をさまようなか、避暑地メイミョウで目を覆うばかりの堕落した生活を送っていたとされる。

 このようなときに、「分断を避けるために上層部の批判をするな」は完全なる自死行為である。上層部を排除することなしに悲劇を回避することは不能だ。無能な為政者の愚策によって悲劇が拡大されている。無能な為政者の無能を的確に指摘することは事態を打開する契機になることはあっても、事態を悪化させる原因には成り得ない。

 安倍内閣はこのような非常事態下においてもなお、利権財政の追求に暇がない。まずは、すべての国民に対する一律給付を決断、議会に提案すべきだ。

※続きは4月13日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「まずはPCR検査妨害主犯加藤勝信厚労相を罷免」で。


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