2024年04月27日( 土 )

自分の利益しか考えない不幸な社会

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は安倍首相の「決定的な能力不足」について指摘した4月22日付の記事を紹介する。


 安倍政治が存続してしまっている理由を三つ挙げてきた。
刑事司法の不当支配
マスメディアの不当支配
国民のぬるさ
この三つだ。

 刑事司法が腐敗していなければ、安倍政治の重大犯罪が適正に摘発されて、とうの昔にこの政権は存在していない。

 いくつもの重大犯罪がもみ消されてきた。マスメディアが事実を正確に伝えるなら安倍内閣は存続できず、国民は賢明な判断を示すことができただろう。

 しかし、根源的な問題は国民の側にある。国民が主権者であることを自覚して、すべての問題に真剣に接してきていれば現在のような政治状況をもたらしていない。

 政治の体制は選挙を通じて決定される。その選挙に主権者の半分が足を運んでいない。安倍内閣を創設しているのは主権者全体のわずか25%の人の投票だ。この25%の人々は自分たちの利益のために自公に投票している。その25%の人々の投票によって政権が樹立され、圧倒的多数の国民は不利益を蒙っている。

 自分たちの利益のために投票してきた人々ですら、能力の高い政権を樹立してこなかったから、いま深刻な被害を受けている。

 もっとも深刻な問題は、日本政治を主導している人々が、すべて自分の利益しか考えていないこと。自分の利益しか考えない人々。この人々が日本政治を主導して日本を不幸にしている。

 為政者は本来、国民の利益を優先して考えるべきだ。しかし、現実は違う。コロナウイルスの問題が重大化したとき、安倍首相は何を考えたか。習近平主席来日と東京五輪開催しか考えなかった。その結果としてコロナ問題への不適切な対応が実行されてきた。

 もちろん、能力不足という問題がある。最重要の能力は「判断力」だ。発生した事態に対して、的確にものごとの優先順位を設定できるのかどうかが問われる。

 中国でコロナウイルス問題が重大化した。この時点で問題の重要性を判断できなければならない。ダイヤモンドプリンセスで問題が生じたときに、すべての乗員・乗客の検査実施を優先する判断を下せなければならない。その能力がなかった。

 ダイヤモンドプリンセスの悲劇を踏まえれば、その後の対応においては、何をおいても検査拡充を図らねばならなかった。

 検査を拡充する。トップが明確に判断して指示する。行政機構が迅速に実行する体制を確保することがトップの役割だ。これをガバナンスという。

 行政府の長の役割は的確に判断し、確実に組織に実行させることにある。各部門には有為の人材を登用しなければならない。しかし、安倍-加藤ラインは最悪である。

 加藤勝信厚労相は検査拡充の重要性を認識して陣頭指揮する必要があったが、真逆の行動を示した。「専門家会議」というあいまいな組織が設けられて意思決定も責任所在もあいまいになった。

※続きは4月22日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「 日本政治を一から立て直すための方法」で。


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植草一秀の『知られざる真実』

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