100年後も人が集い、憩う場所へ竈門神社に見る神社の在り方(後)
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宝満宮 竈門神社 権禰宜 馬場 宣行 氏
「50点を51点に」
――春の桜に、秋の紅葉といった美しい景観、そしてサブカルチャーを通じた新しい出会いと、相乗効果が発揮されています。
馬場 もともと“縁結びの神さま”としての信仰が篤く、若い女性のご参拝を多くいただいておりました。結婚式も、多いときには1日4件、執り行っております。それが、『鬼滅の刃』という作品を通じて、家族連れやご友人と来られる方々が増えております。初詣を除けば、神社に足を運ぶ機会が少なくなっている今、どのようなきっかけであれ神社に興味をもち、ご参拝いただくことはありがたいことです。
――新型コロナウイルス感染拡大を受け、地域の活力が減じているなか、元気な場所があることは大変励みになります。
馬場 竈門神社においても、祭典は通常通り行いますが、そうした神事以外につきましては、現在お声がけなどは行っておりません。また、毎朝コロナウイルス流行鎮静祈願もさせていただいております。1日も早く、日常が戻ってくることを願っております。
――最後に、大きな節目となる1400年目に向けての思いなどをお聞かせください。
馬場 過去から連綿と受け継がれてきたものを、未来へとつないでいくことが大切です。宮司はたとえとして、「100点じゃなくてもいい。50点を51点にして次につないでいけるように」と話しております。そのためには、まずは目の前のものを良くしていくことが大切であり、50年・100年先を見据えた上で、「どんなまちでありたいか」ということを常々自分たちが主体的に考えることが重要です。
竈門神社に関していえば、桜を長い期間楽しめるような工夫を施している最中です。同じ桜でも早咲き、遅咲きと特性があり、それを生かすことで、長い期間桜を楽しめるようにしていこうという取り組みです。
地域の方々とも手を取り合い、より良い太宰府を一緒につくり上げていく。そのための土壌は、すでに長い歴史のなかで培われています。それが太宰府の強みであり、財産です。これまで地域の方々とともにまちづくりをしてきたことが、今の太宰府ブランドにつながっているのだと思っています。
竈門神社も同じです。『鬼滅の刃』という作品を通して、新しいご縁が生まれると同時に、実は地元の方などからはご心配の声もいただきました。「今まで通りの竈門神社ではなくなるのではないか」――と。しかし、50年後・100年後も皆さんが元気になれる場所として在り続けるために、“変わらないために変わり続ける”ことが求められます。後世に残すために変わり続けていく――。無論、さまざまな方との対話を通じながら、神社の在り方を考えていきます。人がいなくなれば、家もすぐ傷んでしまいます。神社も同じです。人が集う場所であり続けることが、大事なのです。そのための弛まぬ努力を、私たちが先頭に立って行っていかなければなりません。
(了)
【代 源太朗】
<Information>
宮 司:西高辻 信良
所在地:福岡県太宰府市内内山883
TEL:092-922-4106
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