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2020年05月22日 14:55

九州地銀の経営トップを検証する

 九州地銀(18行)の20年3月期の決算発表は福岡中央銀行を除き出そろった。4月22日、福岡中央銀行は「弊行では新型コロナウイルス感染拡大にともなう緊急事態宣言発令により、出社人数を抑制した業務運営を実施しており、会計業務にも遅れが生じることが予想されます。このため、2020年5月14日(木)に予定しておりました 2020年3月期通期(2019年4月~2020年3 月)の決算発表を 2020 年 5 月 27 日(水)に延期させていただくことといたしました」と発表している。

【表1】を見ていただきたい。九州地銀18行のトップの顔ぶれである。
~この表から見えるもの~
◆九州地銀(18)行の20年6月のトップ交代は、宮崎銀行1行だけだった。平野亘也(67歳)頭取は在任4年で会長に就任予定で、新任の頭取には杉田浩二(60歳)常務取締役(執行役員兼務)が昇格する。
◆九州地銀(18行)のトップ25名のうちプロパーは16名(64.0%)。外部からは9名(比率36.0%)で第一地銀4名、第二地銀5名となっている。
◆トップ在任(頭取・会長)が長いのは西日本シティ銀行の久保田勇夫会長と南日本銀行の森俊英会長の2人で、13年10カ月におよんでいる。
・年代別に見ると70代は5名。佐賀銀行の陣内芳博会長と宮崎太陽銀行の林田洋二頭取は70歳。筑邦銀行の佐藤清一郎頭取は71歳。南日本銀行の森俊英頭取は73歳。最高齢は西日本シティ銀行の久保田会長で今年12月には78歳になる。60代が一番多く17人。50代は3人。一番若いのは肥後銀行の笠原慶久頭取(58歳)と長崎銀行の開地龍太郎頭取(58歳)。次いで嘉藤晃玉頭取(59歳)となっており、若返りも進んでいるようだ。

【表2】を見ていただきたい。九州の金融グループ(FG・FH)トップの顔ぶれである。
~この表から見えるもの~
◆ふくおかFGの柴戸隆成氏は14年6月に代表取締役社長に就任したが、19年6月に代表取締役会長兼社長となり、経営権を掌握している。
◆西日本FHは16年10月3日の設立以来、大蔵省出身の久保田勇夫会長・谷川浩道社長による経営体制が続いている。
◆九州FGは19年6月に松山澄寛会長(鹿児島銀行頭取兼職)、笠原慶久社長(肥後銀行代表取締役頭取兼職)が就任しており、今後2人による経営体制が続くことになる。
◆北九州銀行を傘下に置く山口FGはトップの異動を発表。それによると吉村猛社長が会長、新社長に執行役員の椋梨敬介(50歳)が就任予定。いずれも20年6月25日の株主総会後の取締役会で決定する。
・吉村猛社長は16年6月に就任(山口銀行頭取兼職)したが、2年後の18年6月、山口銀行会長兼頭取となり、経営権を一身に集中している。

【表3】を見ていただきたい。山口FGの役員名簿である。
~この表から見えるもの~
◆19年6月の役員は9人。山口銀行出身者5名、もみじ銀行出身者1名、社外取締役3名となっており、山口銀行入行のプロパーが5割を超えている。
◆しかし、20年6月(予定)の役員候補10名のうち、社外取締役3名は変わらないが、山口銀行出身者4名(▲1名)、もみじ銀行出身者0名(▲1名)。残り3名は肩書の通り、山口銀行出身者ではない取締役が就任する予定となっている。執行役員8名は山口銀行出身者が占めているが取締役ではなく、吉村社長が意のままに山口FGをコントロールする体制を固めたことになる。

【表4】を見ていただきたい。山口FG傘下の山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行のトップの顔ぶれである。
~この表から見えるもの~
◆3行の頭取は50代。吉村猛山口銀行会長は60歳。年下をコントロールして長期政権を築く体制となっているのがわかる。
<まとめ>
 九州地銀のトップ(会長・頭取)を検証していくなか、北九州銀行を傘下に置く山口FGの人事異動が目にとどまった。銀行の実務を知らない外部の人物を取締役に迎え、山口FGを私物化していることに対して、内部からも不満の声が挙がっている。
 筆者が「実録 頭取交替」を出版したのは守旧派による改革派の頭取交代劇だった。地銀の生き残る道を模索しているように見受けられるものの、右往左往しているのが実態のようだ。山口FGの役員構成から見ると社長交代は望めないものの、全行員が自分の将来をかけて改革の動きを見せれば、盤石に見える吉村体制も崩壊に向かうことになるのではないだろうか。今後も山口FGの動きを注視していくことにしたい。

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【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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