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2014年11月14日 13:38

佐世保児相に突然引き離された親と子(2)

長崎県・佐世保児相もう一つの「闇」

 佐世保高一同級生殺害事件と時期を平行して、男児(当時8歳)の一時保護をめぐり、保護者とトラブルを起こしていた佐世保こども・女性・障害者支援センターの児童相談所部門。(以下、佐世保児相)。今年(2014年)3月31日(日)から、事前に佐世保児相や佐世保市の調査・指導を受けていない6人家族(両親、子4人)の家庭から長男だけが引き離され、7カ月が過ぎた今もその状態が続いている。

疑われた要因

 佐世保市の子育て応援センターの職員が、佐世保児相に送り届け、すぐさま緊急保護による一時委託が決められた男児について、佐世保児相は、保護者が長崎県知事あてに出した審査請求に対する弁明書のなかで以下の3点を「不適切な養育」にあげている。

(1)食事制限および食事を与えない心理的虐待とネグレクト
(2)行動制限および家庭からの閉め出しの心理的虐待
(3)家族からの著しい疎外の心理的虐待

 これらの根拠は、主に男児の証言、そして病院の記録によるものだが、一時保護を決定する前に、保護者への事実確認などは行われておらず、保護者は虐待とされる食事制限の目的に関して反論している。虐待を疑われた男児とは、どのような子どもだったのか。学校の通知表によると、男児は保護されるまで、欠席は1度もなく、学業では優秀な成績をおさめていた。佐世保児相から求められ、小学校が提出した意見書にも保護者の虐待を示す具体的な記述は見られなかった。

sasebo_sien 児童虐待を疑われる要因の1つは男児の身体的特徴にあった。男児は、身長95.6cmで6歳児の平均身長よりも低く、このことで11年11月21日から佐世保中央病院で受診を始めた。翌12年1月16日から同月18日までの3日間、検査入院。4月23日、「成長ホルモン分泌不完全低身長」と診断され、成長ホルモン製剤の投与を始めた。しかし、その効果は見られず、治療適応の打ち切りも懸念された。両親は経済的理由から薬の投与の継続や、他の子の世話(特に一番年下の3歳児)があることから、医師が勧める検査入院を断念したという。

 低身長に関連して、男児には食べ物に対する異常なまでの執着があったことが医師の記録にも残っている。医師からの食事量が足りていないのではとの質問に対し、「食事は他の兄弟と同じくらい食べるが、放っておくと大人の2倍くらい食べる。冷蔵庫のなかの盗み食いもあり、しつけの意味で抑制している」と、父親は答えたという。

 男児にはエビやカニなどへの食物アレルギーがあった。保護者は、量だけでなく、男児の食欲に関してかなり気をつかっていた。「給食でエビピラフが出る時は、エビの入っていないピラフを作って、学校にもたせて行きました」と、母親は語る。異常なまでの食欲を心配し、発達障害の可能性を考えて、13年7月26日から、佐世保市子ども発達センターの小児科医のところへも通い始めた。「食べ物に関してくり返し、ウソをついていることが判明した。『エビかつの件は命にもかかわるのに』と思うと、どうしてよいかわからなくなって」と、母親は医師に伝えている。一方、学校では、給食が床に落ちたものを男児が拾い食いするところが先生に見られており、保護者にも連絡があった。

 男児の食事に関して特別な状況があった以上、一方的に「虐待」と決めつけることには疑問を抱かずにはいられない。さらに、男児の食事に関して、一時保護の後、佐世保児相の不適切な対応と思えるやり取りもあった。4月14日、小学校までの集団登校を担当している地域の人とともに佐世保児相を訪れた母親に、児相職員から「3週間をめどに家に帰す」として、カウンセリングの受診や食事量の増加といった条件が提示された。我が子を取り戻したい一心の母親はこれに同意。しかし、4月16日、両親が佐世保児相に行くと、その話はなかったこととされた。

 佐世保児相が一時保護を正当化する根拠は、一時保護後の男児の身長・体重の増加とされている。たしかに記録では、保護された3月31日の身長99.7cm、体重16.3kgから6月12日現在、身長102cm、体重19.2kgまで増えていることになっている。しかし、両親の元にいた1月7日、佐世保市子ども発達センターでの測定値、身長99.5cm、体重14.3kgからすると、3月31日で身長0.2cm、体重2.0kg増加していた。食事制限が「しつけ」か「虐待」か、食欲旺盛な男児の言い分だけで判断するのは、かなり無理があるのではないだろうか。

(つづく)
【山下 康太】

 
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