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2020年06月01日 16:36

九州地銀の20年3月期決算を検証する(2)

【表1】を見ていただきたい。九州地銀(18行)の20年3月期の当期純利益順位表である。
~この表から見えるもの~
<1位~9位>
◆1位は福岡銀行で、前期比▲31,210百万円の19,098百万円(前期比-62.0%)。大幅なマイナスは貸倒引当金繰入額(前期比+43,008百万円)による。
・2位は西日本シティ銀行で、前期比▲2,575百万円の17,395百万円(前期比-12.9%)。貸倒引当金繰入額は前期比+1,464百万円。
・3位は鹿児島銀行で前期比▲1,202百万円の16,216百万円(前期比-6.9%)。貸倒引当金繰入額は前期比▲2,143百万円。
・4位は肥後銀行で、前期比+365百万円の12,860百万円(前期比2.9%増)。貸倒引当金繰入額は前期比▲466百万円。鹿児島銀行とともに九州FG傘下行であるが、引当金を差し引きしても鹿児島銀行の収益力が高いのがわかる。
・5位は宮崎銀行で、前期比▲2,604百万円の7,125百万円(前期比-26.8%)。貸倒引当金繰入額は前期比+1,124百万円。
・6位は大分銀行で、前期比▲678百万円の5,081百万円(前期比-11.8%)。貸倒引当金繰入額は前期比+1,759百万円。
・7位は北九州銀行で、前期比+1,576百万円の4,110百万円(前期比62.2%増)。貸倒引当金繰入額は前期比▲329百万円。
・8位は佐賀銀行で、前期比▲195百万円の2,441百万円(前期比-7.4%)。貸倒引当金繰入額は前期比▲2,833百万円であり、苦労の後がうかがえる。
・9位は宮崎太陽銀行で、前期比+25百万円の1,066百万円(前期比2.4%増)。貸倒引当金繰入額は前期比▲639百万円。ここまでが当期純利益が10億円超の銀行となっている。
<10位~18位>
◆10位は筑邦銀行で、前期比▲35百万円の800百万円(前期比-4.2%)。貸倒引当金繰入額は前期比▲198百万円。
・11位は南日本銀行で、前期比▲117百万円の645百万円(前期比-15.4%)。貸倒引当金繰入額は前期比+103百万円。
・12位はコロナウイルスの影響で決算発表が大幅に遅れて、27日となった福岡中央銀行で、前期比+65百万円の544百万円(前期比13.6%増)。貸倒引当金繰入額は前期比▲830百万円となっており、遅れた理由も頷ける計数。
・13位は佐賀共栄銀行で、前期比+229百万円の485百万円(89.5%増)と、九州地銀18行のなかで、トップの増加率。貸倒引当金繰入額は前期比+59百万円。
・14位は豊和銀行で、前期比▲826百万円の309百万円(前期比-72.8%)と、大幅に減少している。貸倒引当金繰入額の記載はない。
・15位は長崎銀行で、前期比▲171百万円の54百万円(前期比-76.0%)と、赤字の銀行を除き1番高い減少率となっている。貸倒引当金繰入額の記載はなし。
◆以下はふくおかFGの傘下3行で赤字を計上。貸倒引当金繰入額の積み増しが主因となっている。
・16位は熊本銀行で、前期比▲5,691百万円の▲1,926百万円。貸倒引当金繰入額は前期比+5,859百万円。
・17位は親和銀行で、前期比▲7,913百万円の▲3,834百万円。貸倒引当金繰入額は前期比+3,284百万円。
・18位は十八銀行で、前期比▲14,758百万円の▲10,648百万円。貸倒引当金繰入額は+10,543百万円。親和銀行と十八銀行は20年10月1日に合併して十八親和銀行として発足する予定で、統一基準処理が要因と見られる。
<金融グループ>
◆トップのふくおかFGの当期純利益は、前期比+58,958百万円の110,607百万円(前期比114.2%増)となっている。貸倒引当金繰入額は前期比+59,275百万円。
当期純利益が大幅に増加した要因は、経営統合(19年4月1日)した十八銀行の負ののれん発生益 (特別利益)117,433百万円 の計上による。
◆2位は北九州銀行を傘下に置く山口FGで、前期比+2,243百万円の25,391百万円(前期比9.7%増)。金融グループのなかで、山口FGだけが前期比プラス。貸倒引当金繰入額は前期比+4,268百万円。
・3位は西日本FHで、前期比▲2,677百万円の20,222百万円(前期比-11.7%)。貸倒引当金繰入額は前期比+1,108百万円。
・4位は九州FGで、前期比▲3,941百万円の18,261百万円(前期比-17.8%)。貸倒引当金繰入額は前期比▲2,601百万円。

<まとめ>
日銀のマイナス金利政策および新型コロナウイルスの影響を受けて、20年3月期の決算は厳しい状況だった。21年3月期はさらに厳しい決算が予想され、地銀が生き残るためには、「いかに地方創生の独自戦略を打ち出して、この危機を乗り越えるか」が、問われることになりそうだ。

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(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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