2024年05月04日( 土 )

日中関係は「君子和而不同、小人同而不和」の精神で!(6)

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(一社) 日中商務促進会 会長 孔 令傑 氏

 最近は、Before Corona(BC)とAfter Corona(AC)という表現も使われるようになった。それだけ「新型コロナウイルス」が国際政治・経済、さらには、社会、文化に大きな影響を与えることが広く一般に認識されるようになった。世界は一変する。
 一方で、21世紀がアジアの世紀になることだけは揺らぎようがない。アジア団結の要は「日中友好」である。孔令傑  (一社)「日中商務促進会」会長・Think Digital(株)代表取締役社長に聞いた。孔令傑氏は孔子直系76代にあたり、元中国 清華大学 日本校友会会長である。

起業家や投資家とフォーチュン500の大企業重役との交流

 ――孔会長は「清華企業家協会」(TEEC)の会員でもありますね。これはどのような組織なのですか。

 孔 清華大学には校友会以外に多くの組織があります。そのなかで、中国、そして世界で大きな影響力をもっている組織の1つに「TEEC(清華企業家協会) 」(Tsinghua Entrepreneur and Executive Club)があります。起業家や投資家そして、マイクロ・ソフト、Googleなど、フォーチュン・グローバル500にランクされる大企業の重役がメンバーになっています。このクラブに入るためには、卒業生、もしくは2年以上の教鞭経験がある教員で、かつ会員3人の紹介者が必要になっています。

 クラブは2001年にアメリカのシリコンバレーでハイテク企業の経営者仲間が創設、2005年に中国で法人化され名称を「清華企業家協会」としました。クラブの目的は会員同士がビジネス交流を行い、お互いに助け合うことです。新しい投資案件もテーマとなります。会員は世界で約500名。本部は北京で、中国国内(北京、上海、深圳、成都、西安など)と海外(シリコンバレー、ニューヨーク、日本、ドイツなど欧州)に支部があります。2018年には、若い卒業生が集まって、下部組織となる「青創(Young TE)」ができました。青創会員は現在約150人です。

 年に1度総会(2019年は香港)が行われます。今年は5月に浙江省の嘉興で行う予定でしたが、11月に延期になりました。また、台湾の清華大学(中国の清華大学と起源を同じくする台湾の名門国立大学、新竹市)にも、同じような組織があり、交流を行っています。

お互いの認識の違いを認め、理解することがとても大事

 ――最後に、日中商務促進会の今後、そして「日中友好」に関してメッセージをいただけますか。

孔 令傑 氏

 孔 「日中商務促進会」は法人化したばかりです。会長として私に課せられた主な務めは、法人としての運用ルールを作成し、将来にわたって、促進会の活動を定款と違えることなく進めていけるように、具体的な土台づくりをすることであると認識しています。

 近年の「日中関係」にはあまりにも多くのいろいろな出来事がありました。しかし、常に変わらないことが3つあると思います。1つ目は、日本と中国は近隣(一衣帯水)であるということです。2つ目は、私たちが思い描ける範囲のなかでは、日中の経済相互依存は変わらないということです。そして、3つ目は、日中関係は、双方にとってもっとも重要な外交の1つであるということです。

 孔子の言葉に「君子和而不同、小人同而不和」があります。意味は「君子は道理に従って調和するが、無原則に調子を合わせたりしない。小人は無原則に調子を合わせるが、道理に従って調和しない。」というもの、すなわち、お互いの認識の違いを認める、理解することがとても大事であると言っています。

 面白い例えがあります。レストランに行って料理を注文する際、中国人は好きなものを頼む、もしくは、食べたことがないものを頼むことが多いです。一方、日本人の多くは食べ慣れたものを頼むことが多いようにみえます。

 歴史も、文化も異なるため、相手が自分とまったく同じ行動をすることを期待せずに、それよりも共通点を探ることが大事だと思います。日中関係に限りませんが、世界各国が仲良くしていくためには絶対にこの考え方を忘れてはなりません。そして、お互いに、議論をし、時には喧嘩をするのも構いませんが、最後はこの点に戻るべきと思っています。

 最後になりますが、日本人、日本企業(とくに中小企業の皆さま)はもっと積極的に中国とお付き合いをしてほしいと感じています。そのために、私たち「日中商務促進会」も何らかのかたちでお役に立つことができれば幸いです。

(了)

【金木 亮憲】


<プロフィール>
孔 令傑(こう・れいけつ)

 北京市生まれ。毛沢東「下放」(文化大革命期、都市青少年を農村に行かせ、労働に従事させることにより、官僚主義や主観主義などの克服を目的とした運動)世代。
 1983年に清華大学無線・電子工学部を卒業、同年に中国国家気象局衛星気象センターに入局。在学中から中国科学技術委員会のプロジェクトに参画、「科学技術進歩賞」を受賞した。それにより、卒業前に気象局への入局は決まっていた(当時は政府が就職先を決定していた)。入局後も、気象衛星システムの開発により中国国家気象局「科学技術応用進歩賞」を受賞。
 88年12月に訪日、日本テレコムクリエイト(株)勤務を経て、98年にテレコム(株)情報通信研究所の研究員となり、技術・研究開発をメインに、マーケット調査まで広範囲の分野で活躍。2004年に友人とThink Digital(株)を設立、06年に代表取締役社長に就任、現在に至る。
 (一社)日中商務促進会会長、元清華大学日本校友会会長、清華企業家協会会員。

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