2024年04月28日( 日 )

日中関係は「君子和而不同、小人同而不和」の精神で!(5)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

(一社) 日中商務促進会 会長 孔 令傑 氏

 最近は、Before Corona(BC)とAfter Corona(AC)という表現も使われるようになった。それだけ「新型コロナウイルス」が国際政治・経済、さらには、社会、文化に大きな影響を与えることが広く一般に認識されるようになった。世界は一変する。
 一方で、21世紀がアジアの世紀になることだけは揺らぎようがない。アジア団結の要は「日中友好」である。孔令傑  (一社)「日中商務促進会」会長・Think Digital(株)代表取締役社長に聞いた。孔令傑氏は孔子直系76代にあたり、元中国 清華大学 日本校友会会長である。

清華大学は最大の北米支部を筆頭に、多くの世界主要都市に校友会支部を有する

 ――少し、話を転じます。孔会長は、元清華大学日本校友会 会長でもあります。

 孔 清華大学は留米予備校として1911年に設立、1921年に「清華大学」という名称に変更しました。同時期に設立されたのが、別称「清華大学医学部」と呼ばれる「北京協和医学院」(1956年には中国で唯一の国家級医学学科学術センターとなっている)です。

世界華僑大会

 清華大学は卒業生(在学生を含めて)の横のつながりがとても強いことで知られています。日中戦争のときに、清華大学、北京大学、南海大学の3校は雲南省の昆明に疎開して「西南聯合大学」(学長は清華大学)を設立しました。38年から46年まで、教師と学生が心を一つにして厳しい環境のなかで勉学に励みました。このときの学生間、学生と教師間の絆が、今の清華大学の横のつながりの強さのベースになっていると伝えられています。西南聯合大学から、その間、中国を代表する多くの政治家、経済人、学者、文化人を輩出しています。

 清華大学には大学の正式な組織として校友会があります。これは、日本の校友会のような親睦のみの組織とは少し違います。大学と卒業生のつながりを、あらゆる分野において、より堅固にすることを目的としています。校友会の会長は学長が兼任しています。

 国内支部は北京など中国全地域にあります。また、海外の支部も会員4万人を誇る最大の北米支部(アメリカ・カナダ)を筆頭にして、世界の多くの主要都市にはそれぞれ少なくとも数百人規模の会員がいます。そして、その結束はものすごく堅いです。

会員は約300名、最終学歴は博士と修士で50%を超える

 孔 私は1995年4月の「清華大学東京校友会」設立に参画、2000年に東京校友会の会長に就任しました。その後、会員がほとんど東京にいたこともあり、同年12月に「日本校友会」と改名しました。

 現在、日本校友会(司化 会長)の会員は約300名。男女比は6:4です(近年は女性会員が増えてきた)。年齢は30歳~40歳(60%)、30歳以下(30%)が中心になっています。最終学歴は博士(約30%)、修士(約20%)の両者で50%を大きく超え、残りは学士です。専門は工学系(約75%)、理学系(約10%)が多く、残りは経済など文系です(近年は文系会員が増えてきた)。職業別では、就業中(約57%)、在学中(33%)で残りはその他(研究者など)です。

在日中国人の民間イベントで空前のレベル・規模であった

 ――創立90周年記念イベントがとても盛大だったとお聞きしています。

 孔 私が日本校友会会長になった翌01年に清華大学は創立90周年を迎えました。「創立90周年を記念して日本校友会としては何をすべきか」という議論は1999年頃から始まっていました。結論として、「清華大学を日本社会(政界、経済界、学界など)にアピールしよう」ということになりました。それは、当時日本人の方には、中国の大学では、北京大学はよく知られておりましたが、清華大学はほとんど知られていなかったからです。このときは、各界(外務省、経産省、環境省、国際協力銀行、日中経済協会、日中友好会館、経済団体連合会(当時)、日中科学技術文化センター、日中協会、日本中国友好協会、新エネルギー・産業技術総合開発機構、日中科学交流協会、日中投資促進機構、日本国際貿易促進協会、日本中国文化交流協会、日本貿易振興会、在日中国大使館、清華大学)から多大なご後援をいただきました。

 創立90周年記念イベントは、基調講演に西澤潤一・岩手県立大学学長、特別講演に近藤次郎・日本環境協会会長など錚々たる日本、解振華・環境保護総局局長(大臣級)、陳建・在日中国大使館大使、何建坤・清華大学常務副学長(いずれも当時の肩書)など日中を代表する先生方にスピーカーとなっていただき、2001年にホテル・オークラ東京で開催し、大成功のうちに幕を閉じました。嬉しかったのは、大先輩にあたる韓慶愈・日中科学技術文化センター理事長(当時)から「これまで在日中国人の団体が主催した民間イベントのなかでは空前のレベル・規模であった」と最大の賛辞をいただいたことです。

(つづく)

【金木 亮憲】


<プロフィール>
孔 令傑(こう・れいけつ)

 北京市生まれ。毛沢東「下放」(文化大革命期、都市青少年を農村に行かせ、労働に従事させることにより、官僚主義や主観主義などの克服を目的とした運動)世代。
 1983年に清華大学無線・電子工学部を卒業、同年に中国国家気象局衛星気象センターに入局。在学中から中国科学技術委員会のプロジェクトに参画、「科学技術進歩賞」を受賞した。それにより、卒業前に気象局への入局は決まっていた(当時は政府が就職先を決定していた)。入局後も、気象衛星システムの開発により中国国家気象局「科学技術応用進歩賞」を受賞。
 88年12月に訪日、日本テレコムクリエイト(株)勤務を経て、98年にテレコム(株)情報通信研究所の研究員となり、技術・研究開発をメインに、マーケット調査まで広範囲の分野で活躍。2004年に友人とThink Digital(株)を設立、06年に代表取締役社長に就任、現在に至る。
 (一社)日中商務促進会会長、元清華大学日本校友会会長、清華企業家協会会員。

(4)
(6)

関連記事