2024年03月29日( 金 )

日中関係は「君子和而不同、小人同而不和」の精神で!(4)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

(一社) 日中商務促進会 会長 孔 令傑 氏

 最近は、Before Corona(BC)とAfter Corona(AC)という表現も使われるようになった。それだけ「新型コロナウイルス」が国際政治・経済、さらには、社会、文化に大きな影響を与えることが広く一般に認識されるようになった。世界は一変する。
 一方で、21世紀がアジアの世紀になることだけは揺らぎようがない。アジア団結の要は「日中友好」である。孔令傑  (一社)「日中商務促進会」会長・Think Digital(株)代表取締役社長に聞いた。孔令傑氏は孔子直系76代にあたり、元中国 清華大学 日本校友会会長である。

新疆の石河子大学では「日本の企業管理」について講義

 ――活発に視察活動をされていますね。これまで訪れたなかで、とくに記憶に残っている都市はございますか。

 孔 中国の面積は日本の23倍あります。視察に訪れた地方都市は、自分の育った北京や仕事で訪れた大都市と比べて、文化・風習も含めて、とても大きく違うことを感じました。たとえば、新疆ウイグル自治区(首府はウルムチ)は中国の一番西にあたり、経済的には沿海地方と比べれば遅れています。その代わりに自然環境はとてもいいものが残っていました、環境汚染もほとんどありませんでした、食べ物も独特ですごく美味しかったです。また我々が考えた以上にインフラが整備されていました。首都ウルムチから車で1,000km走った砂漠のなかでも携帯電話が通じました、

 新疆では、要請に応じて、石河子大学(中国の重点大学の1つ)で、学部の2.3年生を対象に、「日本の企業管理」(経営管理、人事管理)の特徴について講義しました。
 地方の大学ではありますが、学生がもっていた知識の広さ、世界に対する旺盛な好奇心、そして向学心に驚かされました。
 石河子大学のもう1つの特徴は、中国でも有名な大学附設の博物館です。ぜひ日本の読者の皆さまにも、機会があれば訪れて欲しいと思っております。歴史的にも、内容的にも、貴重なものが数多く展示されていました。

視察都市では、会員の人脈で、通常ではできない体験を

孔 令傑 氏

 孔 上海から車で2時間走ったところにある浙江省の烏鎮も興味深いところでした。昔の町や村の街並みが残っているところは、中国全土に結構あります。しかし、その多くは、観光客向けに、商業化された形式的なものです。烏鎮には、実際に昔の文化や風習(古民家が多く、素朴な農村料理を味あうことができます)が残っていました。その点がすごく興味深かったです。最近の烏鎮は観光的には「東洋のヴェニス」、ビジネス的には「世界インターネット大会」の開催地としても有名です。

 視察の多くは、その都市出身の会員が窓口となり、人脈をフル活用して、地元政府とのミーティング、企業、大学や病院訪問など、通常の視察ではできない体験をさせてくれています。また、視察の際は必ず、その都市の開発区(工業団地など)を訪問します。その後、約半数の都市に、会員が法人を設立しています。毎年、会員が経済発展の目覚ましいところ、新しい政策のあるところなどの候補をもちより、全員に披露、最終的には例会で
訪問都市を決めています。

10周年を機に会員の福祉充実を兼ねて熱海に会館を購入

 昨年、「日中商務促進会」は10周年を迎えたのを機に(一社)化しました。同時に会員の福祉充実を考え、熱海に日中商務促進会の会館を購入しました。また、資金運用のために投資組合も設立しました。今後は、熱海の会館を旅行、会議などで有効活用する一方で、不動産投資も行い、得た利益を会の資産とし、会の運営を安定させ、さらに求心力を高めていきたいと考えております。

(つづく)

【金木 亮憲】


<プロフィール>
孔 令傑(こう・れいけつ)

 北京市生まれ。毛沢東「下放」(文化大革命期、都市青少年を農村に行かせ、労働に従事させることにより、官僚主義や主観主義などの克服を目的とした運動)世代。
 1983年に清華大学無線・電子工学部を卒業、同年に中国国家気象局衛星気象センターに入局。在学中から中国科学技術委員会のプロジェクトに参画、「科学技術進歩賞」を受賞した。それにより、卒業前に気象局への入局は決まっていた(当時は政府が就職先を決定していた)。入局後も、気象衛星システムの開発により中国国家気象局「科学技術応用進歩賞」を受賞。
 88年12月に訪日、日本テレコムクリエイト(株)勤務を経て、98年にテレコム(株)情報通信研究所の研究員となり、技術・研究開発をメインに、マーケット調査まで広範囲の分野で活躍。2004年に友人とThink Digital(株)を設立、06年に代表取締役社長に就任、現在に至る。
 (一社)日中商務促進会会長、元清華大学日本校友会会長、清華企業家協会会員。

(3)
(5)

関連記事