2024年04月26日( 金 )

日中関係は「君子和而不同、小人同而不和」の精神で!(3)

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(一社) 日中商務促進会 会長 孔 令傑 氏

 最近は、Before Corona(BC)とAfter Corona(AC)という表現も使われるようになった。それだけ「新型コロナウイルス」が国際政治・経済、さらには、社会、文化に大きな影響を与えることが広く一般に認識されるようになった。世界は一変する。
 一方で、21世紀がアジアの世紀になることだけは揺らぎようがない。アジア団結の要は「日中友好」である。孔令傑  (一社)「日中商務促進会」会長・Think Digital(株)代表取締役社長に聞いた。孔令傑氏は孔子直系76代にあたり、元中国 清華大学 日本校友会会長である。

日本の中小企業には、中国地方都市との交流は役に立つ

 ――このたび(一社)「日中商務促進会」の第4代目会長に就任されました。日中商務促進会とは、どのような組織であるのかを教えていただけますか。

 孔 日中商務促進会は2009年に設立された在日中国人のビジネス交流を目的とする組織です。2008年12月に、現在の中心メンバー4人が中国の江陰市(江蘇省無錫市に位置する県級市)を視察しました。当時の江陰市は、県級市のなかでGDPが数年連続トップであったからです。市幹部とのミーティング、企業訪問などを行いました。その結果、「日本経済はたしかに進んでいるが、日本の中小企業には、江陰市のような中国地方都市との交流も大いに役に立つ」という感想をもちました。

 年が明けた2009年2月21日に、品川の高輪プリンスホテルに4人が再び集まり、月に1回第3土曜日(中国語では星期六という)に集合してビジネス交流をすることを約束しました。これが、日中商務促進会の前身となる、「三六会」が設立された経緯です。その後、中心メンバーがそれぞれ周りの経営者に声をかけ、日本人の経営者も参加するようになって、現在では約100名の会員組織となっています。そのうち、日本人経営者は約1割程度です。

中国江陰市視察

会員の多くは高学歴で約3割が修士・博士号をもっている

 ――現在の会員の特徴としては、どのようなものがございますか。

 孔 会員の多くは高学歴で約3割が修士、博士です。中心メンバーは60代前後になりましたが、約3割が40代前後、最近は若い会員も増えてきました。女性は約1割です。職業としてはIT経営者が多くを占めますが、不動産経営者から芸術家まで幅広くなっています。また、最近は多くの経営者が、副業(農業、老人ホーム経営、芸術家招聘など)も行っています。中国有力大学の日本校友会幹部(清華大学、西安交通大学、北京航空航天大学、大連理工大学など)も多数在籍しています。また、中国女性会の会長、日本徽商協会(安徽省出身者実業家の協会)副会長、日本吉林総商会事務局長なども会員になっています。

 在日中国人の団体はとても多いのですが、私たちの会の目的は大きく2つあります。
1つは、「社会的に意義のある活動を行う」ことであり。もう1つは「会員のビジネスや生活に直接的に役に立つことを行う」ということです。形式的な活動は行いません。

 設立以来、年に1回、会員有志で、経済発展の目覚ましい中国の地方都市、たとえばウルムチ、貴陽、広州、長春、西安、吉林、深圳、威海、烏鎮、鎮江などを視察しています。
また、同じく、年に1回、日本国内の特色のある企業、たとえば大阪・(株)金剛組、北九州・(株)安川電機、茨城・(有)ユニオンファーム(農場)など視察しています。

 海外視察では、ミャンマー、シンガポールなど、昨年は、イギリス、フランス、イタリアを視察、ロンドンでは、「第15回世界華商大会」(2年に1度開催)にも参加しました。今年は、湖北省の都市を予定しておりましたが、新型コロナの影響で、延期・中止になっています。

(つづく)

【金木 亮憲】


<プロフィール>
孔 令傑(こう・れいけつ)

 北京市生まれ。毛沢東「下放」(文化大革命期、都市青少年を農村に行かせ、労働に従事させることにより、官僚主義や主観主義などの克服を目的とした運動)世代。
 1983年に清華大学無線・電子工学部を卒業、同年に中国国家気象局衛星気象センターに入局。在学中から中国科学技術委員会のプロジェクトに参画、「科学技術進歩賞」を受賞した。それにより、卒業前に気象局への入局は決まっていた(当時は政府が就職先を決定していた)。入局後も、気象衛星システムの開発により中国国家気象局「科学技術応用進歩賞」を受賞。
 88年12月に訪日、日本テレコムクリエイト(株)勤務を経て、98年にテレコム(株)情報通信研究所の研究員となり、技術・研究開発をメインに、マーケット調査まで広範囲の分野で活躍。2004年に友人とThink Digital(株)を設立、06年に代表取締役社長に就任、現在に至る。
 (一社)日中商務促進会会長、元清華大学日本校友会会長、清華企業家協会会員。

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