2024年04月20日( 土 )

都知事選教訓に直ちに衆院選対応着手

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は「東京都知事選では、小池都政NOの勢力から宇都宮氏と山本氏の2名が出馬し、票が割れたため、小池氏が楽勝する構図が構築されていた。今回の結果を受けて、安倍首相が秋の解散・総選挙に突き進む確率は大幅に上昇した」と訴えた7月5日付の記事を紹介する。


東京都知事選が投開票日を迎え、小池百合子氏が再選を確実にした。
投票率は54.97%で前回選挙を4.73%ポイント下回った。
出口調査の結果、小池氏が大幅なリードを示すことが明らかになり、開票が開始された8時の段階で当選確実が示された。

2位以下の候補者はまだ確定していないが、各社世論調査では宇都宮健児氏が第2位、第3位を山本太郎氏と小野泰輔氏が競り合う状況になっている。

小池都政に終止符を打つかどうかが争点だったが、小池都政NOの勢力から宇都宮氏と山本氏の2名が出馬し、票が割れたため、小池氏が楽勝する構図が構築された。
小池都政刷新を求める政治勢力と主権者の大きな連帯が形成されなかったために、選挙戦は盛り上がりを欠いた。

小池都政は安倍自公政治の枠組みに入る性格を有している。
安倍自公は主権者の25%の支持を確保している。
自民党単独では17%程度の支持しか持たないが、公明党と連携しているため、合計で25%の支持基盤をもつ。

投票率を5割以下に抑制することに成功すれば選挙に勝てる構造を有している。
今回選挙の投票率は55%で5割を超えたが、反小池陣営の大同団結が成立しなかったために、投票率の大幅上昇による半自公勢力の票の上積みが生じなかった。

安倍自公政治の不祥事が相次ぎ、安倍内閣の支持率を5月にはついに3割を割り込んだ。
小池都知事についても、学歴詐称疑惑が払拭されていない。

小池氏の個人史を記述する著書
女帝 小池百合子』(文藝春秋)
がベストセラーになり、小池氏を打倒するチャンスだった。

しかしながら、「反小池陣営」が1つにまとまることができずに、小池陣営に楽勝を提供してしまった。
政治を変えるには選挙というハードルを超えなければならない。

本年または来年に到来する衆院総選挙という政治決戦の本丸に向けての戦術という側面もあったのかもしれないが、今回選挙はあくまで都知事選であり、この選挙に勝利しない限りは都政の刷新は実現しない。
このような選挙戦術が採られたのでは、主権者多数が都政刷新を求めても都政刷新が実現しないことになる。

当事者は冷静に結果を見つめる必要がある。
今回の都知事選結果を受けて、安倍首相が秋の解散・総選挙に突き進む確率は大幅に上昇したと考えられる。

衆院任期は来年10月に満了になる。
その前の9月に安倍晋三氏の自民党総裁の任期が切れる。
安倍氏が2021年9月に自民党総裁を退任し、同時に首相の職を辞す。
後任に、自民党総裁選で新総裁に選出された者が就任する。
この新首相、新総裁の下で衆議院の任期満了選挙が行われる。

これが1つのシナリオとしては存在する。

※続きは7月5日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「都知事選教訓に直ちに衆院選対応着手」で。


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