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2020年07月15日 16:21

『脊振の自然に魅せられて』「梅雨の花 ヤマアジサイ」

渓谷沿いのヤマアジサイに魅了される

 梅雨時の山の花といえば、「ヤマアジサイ」だろう。花(顎)の色は、園芸種のアジサイと比べて、可憐で淡い紫色だ。花(萼)が4枚のヤマアジサイがほとんどだが、時には5枚や6枚のものも見かける。花(萼)のかたちは楕円形がほとんどだが、星型のものを見かけることもある。ヤマアジサイは全体的に小ぶりで、たくさんの花をつけて山で静かに咲いている。

山に咲く可憐なヤマアジサイ

 ヤマアジサイの写真の背景は渓谷が相応しいと思い、糸島市の井原山の洗い谷に50代初めのころ何度も通った。洗い谷は、沢沿いの厳しい登山道で、大小の滝がいくつもある魅力的な渓谷だ。渓谷の最終地点は瑞梅寺川の源流で、山深い谷で清流は美しい光景をつくり上げている。

 登山道の5合目あたりの渓谷の岸辺は、ヤマアジサイの写真を撮るにはピッタリの場所だった。渓流の冷風に吹かれ、可憐なヤマアジサイが静かに揺れている。カメラをセットして、風が止まる「一瞬」を狙って撮影した。 
 水の流れが写り込むようスローシャッターで何度も撮影を試みた。手ぶれ防止のため、風が止まる一瞬は息を止めてレリーズのボタンを押した。

 後日、カメラ店で受け取った現像済フィルムを、不安と期待が入り交じる思いで広げてみると、イメージ通り仕上がっていて感動で心が弾んだ。

 当時の撮影の1コマは、写真集『脊振讃歌』の1ページに掲載している(2008年2月出版)。ポジフィルムとネガフィルムの違いは、色の再現の美しさにある。ポジフィルムは、露出を間違うと色再現が違ってくる繊細なフィルムのため、かつて、ポジフルムの撮影には技量が必要だった。だがデジタルカメラ全盛になった今、この感動はない。

 7月5日(日)に、脊振山直下の登山道を椎原登山口から矢筈峠方向へ歩いた。
梅雨の合間で、曇が厚く今にも雨が降りそうな天気だったため、日曜にもかかわらず登山者が少なく静かだった。
 絶滅危惧種の花に会いに行くためだったが、久しぶりに、渓谷沿いの登山道に咲いているたくさんのヤマアジサイに魅了された。

 10日前に下見にきた時よりも花の紫色はさらに濃くなり、花もたくさん咲かせていた。前日の雨で露をつけた花は、紫色を一層輝かせていた。登山道の側に両腕を広げても抱えきれないほどのヤマアジサイが咲き、まるで「紫一面のキャンバス」だった。沢の上にも、ヤマアジサイが咲いていた。

 撮影を終えて一息つき、バナナで腹こしらえをした。標高700mあたりの山肌は霧のベールで覆われ、大小の樹木がシルエットとなって静かに佇むなか、ヤマアジサイが私の側で静かに咲いていた。至福の時だった。ほかの希少植物も数を増が増え、元気でいるのを確認し、「また来年に会おうね」と花たちに声をかけて下山した。

渓流に咲く、ヤマアジサイ
渓流に吹き寄せる風で静かに揺れている

下山でハプニング

 長雨で登山道に水が溜まっているだろうと予測し、この日は長靴を履いて歩いた。下山途中に登山道をよぎる沢があり、いつもは岩を乗り越えて回り道している。今回は長靴を履いていたため、流れる水の底にストックを突いて1m先まで沢を飛び超えるつもりだったが、思わずストックが沈み込んでバランスを崩し、沢の深みに両足が沈んだ。

 長靴のなかは、水浸しだ。行き道は岩を乗り越えたのだが、帰り道で「近道をしようとした」報いだった。
 溜まった水を急いで長靴から吐き捨てたが、ズボンや靴下から流れ落ちる水で、歩くたびに長靴のなかで「グシュグシュ」と水の音がした。何度か長靴を脱いで水を吐き捨てたが、相変わらず長靴のなかは水が溜まったままだった。

 車に戻り、急いで長靴を脱いで素足になり、スニーカーに履き替え、汚れた長靴と靴下を横に流れる沢の水で洗ったが、運転中も濡れたズボンの不快感が続いた。「急がば回れ」という言葉が当てはまるかわからないが、近道をしようとして痛い目にあった日でもあった。

2020年7月15日
脊振の自然を愛する会
代表 池田友行

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