2024年04月18日( 木 )

感染拡大だけでないGoTo政策致命的欠陥

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は「感染拡大を促進し、一握りの事業者や個人が著しく恩恵を受け、所得格差是正の原則を破壊するGoToキャンペーンは、中止すべきだ」と訴えた7月15日付の記事を紹介する。


国民の利益を第一に捉えて政策に変化が生じるのならやむを得ない。
しかし、国民の利益ではなく、自分自身の個人的な利益を優先して政策がコロコロ変わることは許されない。

(略)

東京都の感染者数は急増しており、客観的に見れば強い警戒感をもたなければならない状況だ。
本日、7月15日、東京都は現在の感染状況を、4段階のなかでもっとも深刻な「感染が拡大していると思われる」に引き上げた。
同時に、小池都知事は都民、事業者に対して
「感染拡大警報を発すべき状況」
として警戒を呼び掛けた。

ところが、安倍内閣は7月22日からGoToキャンペーンの実施に踏み切る。
明日、7月16日の分科会で検討するとしているが、7月22日からのキャンペーン始動の予定を変えないとの姿勢を示している。

Gotoキャンペーンは人の移動を促進する措置だ。
当然のことながら、首都圏から各地への人の移動が強く促される。
感染拡大を推進する施策である。
まさに狂気の政権である。

安倍内閣はGoToキャンペーンで1.7兆円もの国費をばらまく。
これこそ、利権政治の象徴だ。
コロナウイルス感染症の感染拡大を封殺しなければならない局面で、政府が人の移動を全面的に後押しする施策を行うことが言語道断の誤りであることは幼稚園生でもわかる。

7月12日付記事にも記述したが、安倍内閣は感染拡大促進に転じたと評価できる。
感染拡大促進に転じたのであるなら、そのことを明言すべきだ。
感染拡大を推進するためにGoToキャンペーンを強行するというなら、論理的には筋が通る。
安倍内閣が感染拡大推進を目指しているなら、はっきりそのことを国民に明示すべきなのだ。

冷房と暖房を同時に入れるとか下剤と便秘薬を併用するなどと批判を受けているが、感染抑止を掲げながら、GoToキャンペーンを強行するというのは説明として成り立たない。

この問題を脇に置いてもGoToキャンペーンは最悪の施策だ。
最大の問題は財政資金の配分に著しい不公正が生じること。
キャンペーンの恩恵を受ける者が著しく偏る。
その偏り方が適正な方向に生じるなら問題は軽減される。

ところが、GoToキャンペーンの場合、偏り方が問題をさらにいびつにする方向に偏る。
集客力の高い旅館業にとって、このキャンペーンは「濡れ手に粟」の利益を得る装置になる。

開店休業状態にあった旅館のなかに、すでに7月、8月と一気に満室になっている事業者も現れている。
年末まで週末の予約がほぼ埋まった事業者もある。
一気に発生した売上見通しの3割から5割が財政資金だ。
1つの事業者に財政資金が数千万円から数億円投下されるケースも発生し得る。

※続きは7月15日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「感染拡大だけでないGoTo政策致命的欠陥」で。


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