【川辺川ダムを追う】川辺川ダム建設中止、決めたのは誰だ?(5)
-
「令和2年7月豪雨」により、熊本県南部を流れる球磨川が氾濫し、流域市町村で死者65名、9,000棟を超える家屋被害が発生した。球磨川は過去に何度も氾濫を繰り返してきた“暴れ川”だが、記録が残るなかでは、今回が過去最大級の水害だといわれる。球磨川の支流である川辺川では、1969年以降、総貯水容量1.3億m3を超える治水ダム「川辺川ダム」の建設が進められていたが、2008年に蒲島郁夫熊本県知事が「ダム建設計画の白紙撤回」を表明。09年にダム建設中止が決まった。
以降12年間、国や県、流域市町村などは「ダムによらない治水」をめぐる検討を続けてきたようだが、実際に有効な治水対策が講じられることはなく、今回の水害を招いた。「ダム建設中止は、政策判断として正しかったのか?」「ダムによらない治水とやらは、なぜ実行されなかったのか?」「水害後も治水政策は変わらないのか?」――などいろいろと疑問が湧く。今回の水害を機に、川辺川ダム建設中止をめぐるこれまでの経緯などを追ってみた。
球磨川の治水、人事を尽くした結果か
川辺川ダム建設の経緯などをめぐって、後出しジャンケン的に長々とほじくり返してきたわけだが、一番肝心なのは「これからの球磨川流域の治水をどうするのか」ということだ。言い換えれば、「水害を繰り返さないためには、何をすべきか」ということだ。それを考える前提として、過去の経緯を最低限検証しておく必要があったわけだ。
「人事を尽くして天命を待つ」という言葉がある。できる限りのことをしたら、後は天命に任せるという意味だ。人事を尽くしていなかったのであれば、今後は人事を尽くすのに邁進すれば良い。一方、人事は尽くしたというのであれば、もう打つ手はない。天命に任せるしかない。一番タチが悪いのは、やるべきことはわかっているが、それをやらないということだ。
この記事を結ぶに際し、国や県、流域市町村、住民などに対しては、これだけ問いたい。「球磨川の治水対策について、本当に人事を尽くしてきたと考えているのか」――と。
(了)
【大石 恭正】
月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。
記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。
企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。
ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)関連キーワード
関連記事
2024年4月26日 17:302024年4月8日 14:102024年4月3日 15:002024年4月25日 14:002024年4月15日 17:202024年4月5日 17:402024年4月25日 14:00
最近の人気記事
週間アクセスランキング
まちかど風景
- 優良企業を集めた求人サイト
-
Premium Search 求人を探す
- 業界注目!特集
-
産廃処理最前線
サステナブルな社会を目指す
- MAX WORLD監修
-
パーム油やPKSの情報を発信
パームエナジーニュース