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2020年09月10日 15:11

【凡学一生のやさしい法律学】世襲議員問題の大いなる誤解

(1)非民主主義社会に加担する日本のマスコミ

 自民党総裁選の話題でマスコミは今、過熱報道の真最中である。そんななか、最後の段階で「急遽」候補として名乗り出た菅官房長官を紹介するに際して、他の立候補者はすべて世襲議員であるが、菅氏は世襲議員ではないと報道するマスコミがあった。
 また、ある世襲議員の候補者は、今回の総裁選で自民党が党員投票を排除したことを「民主主義」に反するものと批判していることも報じられた。

(2)利益誘導で投票マシンをつくり上げる世襲議員

 世襲議員とは、親から子、そして孫へと国会議員の地位をあたかも相続財産として、多選を継続する現象のことを指している。本質的には、世襲議員が生まれるのは、立候補地域の主権者・選挙人(いわゆる支援者)を何らかの利益関係をもって「投票マシン」につくり上げてきた結果であり、それは「ジバン」という俗称で表現されてきた。

 選挙人は主権者教育を受けていないため、政治的争点を基本的に理解しておらず、ただ、個人的な利益誘導関係に基づいて投票しており、これは民主主義原理の完全な否定の上に立つ現象である。

 菅氏もこの「ジバン」を構築して多選を続けてきたのであり、今後、もし菅氏がその「ジバン」を親族の誰かに譲れば、その人が世襲議員と呼ばれることになる。

 つまり問題の本質として、世襲議員は、利益誘導により選挙人を投票マシンにつくり上げて多選を継続する行為、民主主義原理に反する選挙活動行為を非難する言葉であって、国会議員の地位が相続財産化(利権化)して相続継続される現象のみを意味するものではない。

 その意味では冒頭のマスコミ報道は、世襲議員の問題の本質を国民の目から遠ざける不適切な報道である。担当記者や編集局長のレベルという問題ではもはやなく、組織・集団としての報道機関のレベルに疑問を持たざるをえない。

 世襲議員は本質的に、1つの親族による国会議員の地位の独占・多選を継続するものであるため、それだけでも民主主義原理に反するうえに、その多選の継続が選挙民に対する利益誘導の結果であるということからも、反民主主義である。

(3)党員投票~総裁は党内派閥の力学で決まるという本質

 世襲議員である総裁選候補者が全党員投票を排除したことを「民主主義に反する」と主張することに対して、国民は極めて強い違和感を抱くべきだ。行政権の長が自民党内における不当な手続きにより決定されることよりも、自民党内の派閥の力学関係で決定するというプロセス自体の反民主主義性こそが問題である。

 主権者(国民)不在の政治は、明治政権以前から続いている。日本には、民主主義の基本である主権者教育が国民に必要な基本的な教養・知識であるという共通認識が存在していないことが大きな問題といえよう。

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