2024年04月19日( 金 )

市内企業の成長促す金融支援~下関市と連携協定で課題解決へ(前)

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(株)山口銀行 頭取 神田 一成 氏

地域の魅力の再発掘で、下関市のまちづくり支援を

 ――山口銀行はこれまで地方銀行として、下関市とどのように関わってこられましたか。

 神田 当行の前身となる第百十国立銀行は1878年に現在の山口市で誕生しましたが、その2年後の1880年には本店を下関市(当時は赤間関市)に移転しています。1944年には(株)山口銀行となりましたが、そこから数えて76年間、第百十国立銀行時代から数えると140年間にわたって、この下関の地で地元金融機関として、地元の事業者さまの成長を支えるお手伝いをさせていただいております。

 数年前からは「事業性評価活動」を積極的に展開しており、市内の事業者さまの成長を促すような金融支援はもちろんのこと、コンサルティングなどの課題解決に向けた各種ソリューションを提供してきていますが、今年はコロナ禍の状況下で、とくに力を入れて対応しているところです。

 まちづくりを含めた地方創生の取り組みについては、当行だけでなく山口フィナンシャルグループ全体で取り組んでおり、2015年7月に新設した関連会社の(株)YMFG ZONEプラニングを中心にコンサルティングを展開しています。そのなかで、下関市とはほかの市町に先駆けて包括連携協定を締結しており、市が抱える課題の共有や、その解決策の提案など、これまでさまざまな連携を行ってきました。

 ――YMFG ZONEプラニングでは、昨年から「まちの魅力再発掘プロジェクト」に取り組んでおられます。

 神田 19年4月から行っている「まちの魅力再発掘プロジェクト」は、唐戸地区を中心とする海峡エリアをターゲットに、市民の皆さまを巻き込みながら、まちの魅力の再発掘や、エリアビジョンや施策を段階的に進めていくものです。下関市には多彩な観光スポットが存在していますが、そのほとんどは“点”の魅力にとどまっており、連携した“面”での展開ができていません。

 そこで、周遊・滞在型の観光への転換を図るための第一歩として、まずは市民の皆さまに地域の魅力を改めて知ってもらうことを目的に、24名の市民記者が市内の魅力あるスポットを取材してタブロイド紙を発行するというワークショップを行いました。今年度以降、この発掘したエリアの魅力を基に、市民や事業者の皆さまと協働でエリアビジョンの策定などを行う予定でしたが、現在は新型コロナの影響で延期となっており、再開の時期を調整中です。

 ――そのほかの取り組みなどは。

 神田 一例を挙げると、国土交通省および内閣府と協定を締結して「山口地域PPP/PFI官民連携プラットフォーム」の運営を行っており、代表構成員として下関市に参画していただいています。ここでは、「官と民がどう連携していくべきか」について、官民対話を繰り返しながら案件を具体化させており、具体的な事例では、下関市安岡地区において、支所、コミュニティセンター、図書館などが入る予定の複合施設整備事業についてPPP/PFI活用の検討を進めています。

(つづく)

【構成:データ・マックス顧問 浜崎裕治/文:坂田憲治】


<PROFILE>
神田  一成
(こうだ・いちなり)
 1962年12月、山口県出身。85年に東京大学法学部を卒業後、(株)山口銀行に入行。2012年に(株)もみじ銀行取締役に就任。その後、もみじ銀行の常務取締役および専務取締役、(株)山口フィナンシャルグループ取締役への就任を経て、18年に山口銀行頭取に就任した。

(後)

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