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唐戸商店街と学生が連携する地域事業~教育を通じた「まちづくり」(中)
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2020年10月05日 07:00

唐戸商店街と学生が連携する地域事業~教育を通じた「まちづくり」(中)

下関市立大学 教授 難波 利光 氏

住民が学生と一緒になって地域活動を楽しむ(つづき)

 ――これまでの活動のなかで、唐戸商店街についてはどのように思われていますか。

 難波 唐戸商店街は下関市役所本庁舎のすぐ近くで、一帯は古くからの港町・宿場町であり、地域交通のハブ的な役割を担っている場所です。また、私がこれまで約10年間活動したなかで感じていることですが、住民のアイデンティティーがすごく高い地域でもあります。

 なぜそのような風土が唐戸に根付いているのかはわかりませんが、学生を見守りながら育てていこうという気概を感じます。地域によっては、体の良いボランティアという名目で、学生たちを単なる人手不足解消の道具として利用しようというところもありますが、唐戸ではそういったことはまったくありません。活動に対する学生の意識は、その年によっても異なりますが、唐戸商店街の方々はそれを理解したうえで、学生が唐戸に来ることを歓迎して、学生と一緒になっての活動を楽しんでくれているようです。唐戸は、私が常に学生の活動に張り付いていなくても、安心して地域教育ができる場所なのです。

疲弊する商店街が抱える大きな課題

 ――唐戸に限らず、疲弊している商店街が全国的に多くあります。

 難波 商店街が存続していくにあたっての大きな課題は、「継続性」「公共性」「地域連携」です。「継続性」については、それぞれの店主が事業承継を「したくない/させない」という傾向が高いことが問題です。古い商店街の店は、老舗や伝統ある店舗の事業を継ぐのと違って、戦後の復興から高度成長を経て1970年代ごろまでは収益を上げる一方で、不動産を購入して不動産収入などの不労所得を得る傾向にあり、必ずしも商店経営での収入に依存していないと思われます。また、商店での安定した収入が得られない場合には、ご子息を離職させてまで事業継承は望んでいない傾向にあります。

 さらに、衰退している商店街でよくあるのが、高齢化した商店主が、店を潰しても暇をするだけなのでとりあえず開けて、結果的に近隣住民のコミュニティの場と化しているようなケースです。こうなると商店街はもはや経済的な役割をもった場所ではなく、福祉的な役割を担う場所だといっても過言ではありません。こうした変化が起こっています。ほかに「公共性」と「地域連携」については、商店街の多くが長い歴史をもっていますので、個店経営だけではなく、地域経済や地域との関連性を大切に残しながら、商店街の存続を検討することを考える時期にきています。

 そうしたなかで唐戸商店街についても、「都市の限界集落」になりつつあります。しかし唐戸商店街の場合は、「この地で商売をし続けたい」と考える若い商店主もいますので、ここをどう支えるかというのが課題です。私の方でもKF projectの活動を通じて、そこに学生をマッチングさせ、若い感覚で商店経営に取り組めるためのお手伝いをさせていただいております。

 ――基本的には、商店街を残す・再生するという思いで活動されていると思いますが、現状はいかがでしょうか。

 難波 商店街を残していくという活動において、私は物質的なかたちにこだわっていません。先ほどお話した「ものづくり」「人づくり」「地域づくり」の核となるのは、「人」です。商店街で生きる人たちが「商店街を残したい」「また活性化させたい」と思っているから活動できるわけです。これがKF Projectの大きな財産だと思います。しかし、現状としては商店街の空洞化は進んでおり、シャッターが閉まっている空き店舗も増えています。

 学生の就職面接では、「この活動で商店街にどれだけの経済効果をもたらしたのか」と聞かれるようですが、私たちの活動によって経済的に劇的な活性化をしているわけではありません。KF Projectの活動は、商店街の人たちが高齢化しつつも、人生のセカンドステージをつくる場所として事業承継することや、「行くと元気になる商店街」となって楽しい商店街の空間づくりができるきっかけやスパイスになれれば良いかと思っています。

(つづく)

【小山 仁】


<PROFILE>
難波  利光
(なんば・としみつ)
 1968年岡山市出身。北九州市立大学社会システム研究科博士後期課程修了、学術博士。財政学、社会福祉学を専門に下関市立大学経済学部教授・大学院経済学研究科長を務めるほか、中四国商経学会会長、(一社)九州経済連合会行財政委員会企画部会委員、(協)唐戸商店会員外理事、(一財)山口老年総合研究所理事、下関市山の田地区まちづくり協議会支えあいプロジェクト部門顧問、岡山後楽館高校地域協働学校運営協議会委員、大分県中津市商店街活性化とまちづくりに向けた大学連携事業のためのアドバイザーなどの肩書をもつ。

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