リモートワーク化で利用増クラウド契約・クラウドサイン(前)
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契約のオンライン化、コロナ禍で反響4倍
「コロナ禍による在宅勤務・リモートワーク化が進められているが、契約書が紙である場合、押印や郵送による受け取りのために出社する必要がある。出社を減らしリモートワーク化を実現するために、オンラインでの契約書締結が以前に比べて広まりつつある」――と話すのは、クラウド契約サービスの「クラウドサイン」を運営する弁護士ドットコム(株)クラウドサイン事業部統括マネージャー・田口修氏。これまでは「契約書といえば紙に押印するもの」という習慣から、オンライン(電子)契約が広まりにくかったが、コロナ禍という未曽有の出来事が起こった今、その習慣も変わりつつあるようだ。
電子契約サービスのクラウドサインは、紙の契約書面に押印することなく、パソコンやスマートフォン(スマホ)だけで契約締結を完結できるサービスだ。作成した契約書(データ)にパソコンやタブレット上で押印や電子署名を行い、契約書のやり取りはメールで行う。この場合、相手先がクラウドサインのサービスを利用していなくても、契約書を締結することができる。
すでに約10万社の企業が利用登録しており、九州では西日本鉄道(株)、(株)サニックスなどで利用実績があるという。とくに大手企業は、契約稟議の承認者数が多く、オンライン化で総務・法務部門の契約締結業務が大きく効率化されるため、活用が進みやすい。クラウドサインはITや金融などオンライン化に先進的な業界で多く取り入れられているが、「地域で利用特性はない」(田口氏)という。
電子契約サービス提供企業は、全国に約12~13社あり、2018年度の市場規模は約36億7,000万円(調査会社アイ・ティ・アール調べ)。クラウドサインの事業売上高は、6億4,000万円(2020年3月期)で、同市場のシェアトップだ。これまでも政府のデジタルトランスフォーメーション(DX)による書類の電子化推進がありつつも、紙書面で契約締結する商習慣はなかなか変わらなかった。しかし、「今春は全業界でオンライン契約サービスの需要が高まり、クラウドサイン有料プランの問い合わせや商談数は昨年比約4倍に増加した」(田口氏)と話す。
一般的に紙の契約書は、印刷、製本、郵送の作業時間が1通あたり20~30分、押印フローによっては半日以上の手間がかかり、人件費、郵送代、印刷代などのコストは1通あたり700円(収入印紙除く)と試算されている(弁護士ドットコム調べ)。しかし、クラウドサインを利用すると、オフィス外でもメールによる契約書の押印や承認が可能で、書類を往復する手間がなく当日中に締結できるため、契約締結までのスピードが速く、コスト削減と業務効率化が可能となる。
(つづく)
【石井 ゆかり】
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