“自然利用か、自然破壊か”糸島にそびえ立つ最大10基の風力発電機(2)
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糸島市と唐津市の行政界・女岳の七山側で計画されている「(仮称)DREAM Wind 佐賀唐津風力発電事業」。事業者の大和エネルギー(株)(大和ハウスグループ)は、2020年7月7日~同年8月11日にかけて配慮書の縦覧を行うなど、環境アセスメント(※)ガイドに則って計画を進めている。しかし、糸島市側の計画地の周辺住民からは「そんな話はまったく知らない」との声が聞かれ、一部で反対運動が起きる事態にまで発展している。
※環境アセスメント
自然環境に悪影響を与えないように事業内容の評価を受け、環境保全の観点から望ましい事業計画をつくるための制度。事業が開発地域におよぼす影響について事業者自らが事前調査を行い、その後、地元住民や専門家、環境担当行政機関からの意見を募る。 ^糸島市と唐津市の温度差
唐津市では、2018年4月に「第2次唐津市環境基本計画」を策定。再生可能エネルギーの普及、促進を図っており、DW事業に対しては歓迎する立場であるといえる。
市の担当課はDW事業に関して、「地元住民の同意を得ることが重要であると考えております」としながらも、事業内容が適切なものかどうかに関しては「事業者(大和エネルギー)が提出された資料の数値(風速など)がすべてですので」「地元住民との調整も終えたうえで、諸手続きを進められていると思います」としており、あくまで受け身の姿勢に徹しているといった印象だ。なお、「地元住民との調整」に関しては、先行して区長に対しては事業者から説明が行われたようだが、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、区長以外の住民に向けた説明会は開催されていない(20年8月26日時点)。
市はこれまでにも、複数の風力発電機の導入を進めてきた(【表1】参照)。市にとってはDW事業もあくまでそのなかの1つでしかなく、同事業の計画内容や、自然環境に与える影響に対して、立地自治体として積極的に意見することはなさそうだ。
しかし、市の人口は減少傾向が続いている(図2参照)。20年9月1日時点の市の世帯数は5万1,105世帯。【表1】の風力発電機だけでも出力は60MW以上(約2万世帯分の電力供給が可能)に上る。玄海原子力発電所などの電力供給量を考えれば、すでに十分な電力を確保できているはずだ。
九州電力管内では再生可能エネルギーの導入が急速に進んだことで、消費と発電のバランスが崩れ、電力の安定供給が困難になる可能性が高まっており、発電量が消費量を上回らないよう出力制御がなされている状態だ。新たに30MW以上の出力を誇る風力発電機を設置する必要性が、本当にあるのだろうか。
(つづく)
【代 源太朗】
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