2024年04月20日( 土 )

ストラテジーブレティン(263)~コロナパンデミックの経済史的考察(2)

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 NetIB‐Newsでは、(株)武者リサーチの「ストラテジーブレティン」を掲載している。
 今回は2020年10月22日付の記事を紹介。


(2) パンデミック、経済正常化の緒につく

コロナパンデミックの全体像がほぼ見えた。

 歴史的コロナパンデミックがようやく峠を越えたようである。感染スピードの速さ、世界全体を覆いつくした感染規模は史上最大である。だが疫病の毒性そのものは、致死率が4~5割と高かったペスト、コレラなどと比較し弱いこと、重症化、死亡者は高齢者、基礎疾病者に偏っていること、重症化の主因が新型コロナウイルスそのものというよりはサイトカインストーム(免疫の暴走)であこと、などさまざまな特徴が明らかになった。

 それらの知見による対症療法も進展し重症化、死亡率は大分低下し、Withコロナの下での経済活動正常化進行が視野に入ってきた。東京オリンピックも実施される方向にある。今や、ポストコロナ時代をどう予見するか、が焦点になっている。もっとも重要なことは、コロナパンデミックがイノベーションの3条件である技術、市場(ニーズ)、資本を完璧なまでにそろえたということである。コロナ後の世界経済は明るく、成長率は高まるだろう。

悲観論、株バブルキャンペーンは誤りだった

 感染拡大の初期には先進国で軒並みロックダウンとなり、世界的に経済活動がほぼ停止状態になり、あらゆる経済指標は戦後最悪、失業率は大恐慌以来、最高になった。世界の株価はコロナ感染勃発後に4週間で4割という史上最速ペースの暴落となった。しかしその後2週間で下落の半値戻しを達成、8月には主要国株式はコロナショック前の水準に戻っている。

 この間、大多数のメディアや専門家は「経済実態と乖離した株高はバブルで持続性がない」と主張した。フィナンシャルタイムズなど経済ジャーナリズムは、「この株価の急回復はユーフォリア(楽観的)で持続性がない」とキャンペーンを張り、エコノミスト誌は「ウォールストリート(株価)とメインストリート(現実の経済社会)の危険な断絶」という特集(5月9~15日号)で、楽観論を批判した。しかし、主要国株価は6月、9月と大幅な下落という調整を経つつも、堅調である。

(つづく)

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