2022年08月15日( 月 )
by データ・マックス

糸島から始動「よかまちみらいプロジェクト」(後)

akippaで駐車場不足を解消

 「“なくてはならぬ”をつくる」をミッションとして、契約されていない月極駐車場や個人宅の車庫・空き地・商業施設などの空きスペースの利用促進、収益化に貢献する駐車場予約アプリ「akippa」を運営するakippa(株)は、「よかまちみらいプロジェクト」にベンチャー企業として唯一参画している。同社が九州の自治体と協力するのは、今回が初。今後、「my route」による「予約制駐車場」情報の提供を行うことで、糸島の駐車場不足はもちろん、それにともなう渋滞や交通混雑の解消を目指す。

同プロジェクトにおけるakippa提携駐車場:とみおか整骨院

 2014年4月にサービスを開始した駐車場予約アプリ「akippa」は、20年10月には累計会員数200万人、累計駐車場拠点数4万を超えるサービスに成長。最近では、イベントやスポーツ観戦、旅行などのレジャー利用に加え、通勤・通学、家族・知人宅訪問、買い物、ビジネスなどの日常生活での利用も増加傾向にあることを受けて、22年までに累計会員数1,000万人という新たな目標を掲げている。

 目標の達成に向けては、看板や精算機などの機器の設置が不要というakippaの特徴を生かし、駐車場料金を需給に応じて変動させる「ダイナミックプライシング」を導入。需要の増減に応じた柔軟な価格設定を可能とすることで、駐車場オーナーの収益最大化につなげる。

 糸島での生活、観光に欠かせない自動車。そして、その自動車での移動に欠かせない駐車場の提供を通じて、「人と人」「人と体験」をつなぐakippa。糸島でどのような展開を見せてくれるのか、その動向が注目される。

akippaのサービス概要(akippa-HPより)

「よかまちみらいプロジェクト」と糸島への期待

akippa(株) 広報グループ 森村 氏

 ――今回、「よかまちみらいプロジェクト」に参画された経緯について、お聞かせください。

 森村 「駐車場シェア事業として参画してほしい」というご相談をいただき、糸島市および福岡市における交通課題についてお聞きするなかで、akippaのサービスが課題解決に役立てるところも多いと感じ、プロジェクトへの参画を決めました。

 ――同プロジェクトで提供される御社の予約制駐車場サービスを通じて、実証実験期間中に糸島で達成したい目標、また、期待される効果は何でしょうか。

 森村 主に、観光地周辺の混雑および駐車場不足にともなう渋滞の解消を目標として掲げています。今回のプロジェクトを通じて、駐車場を含んだ新しいMaaS(※3)を創出することで、糸島半島のアクセス改善や地域活性化を進める一助となることを目指します。

 ――プレス発表時点では「とみおか整骨院」の駐車場が紹介されていますが、その後に新たに契約された場所があればお聞かせください。また、今回のプロジェクトと関係なく、すでに糸島で契約されている駐車場があれば教えてください。

 森村 リリース発表後に新たな動きは現時点ではありませんが、交通課題改善に向けて増やしていく必要があると感じております。今後は本コンソーシアムに参加されている企業さまや、九州大学さま、糸島市さま、福岡市さまと協力し、実証実験の開始予定である21年2月までに駐車場の貸し出しを増やしていきたいと考えております。なお、10月現在での糸島市で契約している駐車場は約30カ所となっております。

 ――駐車場予約アプリの福岡での利用状況についてはいかがですか。

 森村 福岡県では現在、約2,500カ所の駐車場貸し出しがあります。18年には西日本新聞社さまと「パートナー提携」を行い、地元・福岡の駐車場貸し出しの促進にご協力をいただきました。また、20年9月には西日本鉄道さまと提携を実施し、遊休地を駐車場として貸し出ししていただいております。

 今後も福岡県内の地元企業さまと協力し、予約できる駐車場を増やしていくことで、多くの方の移動におけるお困りごと解決につなげていきたいと考えております。

 ――最後に、御社が考えられる糸島の魅力、今後のまちづくりで必要だと思われるコト・モノについて、自由な意見をお聞かせください。

 森村 自然を生かした郊外型観光が、糸島の魅力の1つであると考えております。そのため、まちづくりには「観光客はもちろん、地元の人にもアクセスしやすい環境づくり」と「アクセスをスムーズにして郊外型観光誘致」の2つが必要だと考えています。
 今回のプロジェクトに参加することで、これらの達成の一翼を担えればと考えております。そして、糸島をさらに「よかまち」にできればと思います。

※3:MaaS
Mobility as a Service(モビリティ・アズ・ア・サービス)の略。ICT(情報通信技術)を活用して、自動車や自転車、バス、電車など、すべての交通手段による移動を1つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな『移動』の概念。 ^

移動で変わる糸島暮らし

 糸島で暮らしていくなかで、車があるのとないのとでは利便性が大きく異なる。実際、生活必需品の購入などにも不便を感じるということが珍しくない。観光地として知名度が向上し、交流人口が増加したことで、住民以外にもこの移動に関する課題が顕在化するなか、「よかまちみらいプロジェクト」の舞台として選定されたことは、課題解決はもちろん、糸島に新たな産業を起こす機会であり、民間資金を呼び込むチャンスでもある。

 観光地間の移動が容易になることで、地元商店には「ついで利用」の需要が生まれる。観光客との交流のなかで、新商品・サービスが誕生することもあるだろう。また、移動にともなう選択肢が多様化することで、それぞれのサービスに応じたノウハウが地元に蓄積される。IoTやAIを活用したモビリティ都市を早い段階で経験できることは、交通課題と高齢化を内包する他の地方都市へのアドバンテージとなる。

 同プロジェクトを契機として、糸島は風光明媚な観光地、九州大学伊都キャンパスの存在による学術研究都市に次ぐ、新たなまちづくりの可能性を手にすることができるのだ。

「さらなる観光振興にも期待大」

(了)

【代 源太朗】

(前)

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