2022年08月13日( 土 )
by データ・マックス

すべての人が安心して過ごせる社会を――認知症専門医による訪問診療(前)

医療法人 すずらん会 たろうクリニック
院長 内田 直樹 氏
(医学博士 日本老年精神医学会専門医)

 ――貴院が普及に努めている「在宅医療()」とは。

 内田 「在宅医療」は、身体の機能が低下して通院が困難になった人でも、できる限り住み慣れた地域で暮らし続けていけるよう、また「自宅で最期を迎えたい」という高齢者の願いを叶えられるよう、医師などの専門職が患者の自宅や介護施設を訪問し、終末期における緩和ケアなどを提供するサービスです。国が進める「地域包括ケアシステム」においても重要な役割をはたしており、訪問診療などいろいろな仕組みが徐々に整備され、当院のように在宅医療を行う在宅療養支援診療所も増えてきました。

 入院医療や外来医療と並ぶ“第3の医療”と位置付けられている在宅医療ですが、まだ歴史が浅く、地域によっては病院と在宅医療の連携が取れていないところもあります。一方、福岡市は「福岡市在宅医療医会」という医師会の外郭団体として在宅医療の団体もあるなど、先進的な取り組みが進められている珍しい都市で、全国的には少ないといわれる在宅療養支援診療所がいくつもあり、選べるような状況にあります。

※:在宅医療とは、医師などの専門職が患者の自宅や介護施設などを訪ね、終末期の緩和ケアなどを提供するサービス。訪問診療、訪問調剤、訪問歯科、訪問リハビリテーションなどがあり、地域包括ケアシステム構築における重要な役割として国が推進している。 ^

 ――その福岡市で、約1,000人もの多くの患者に24時間対応で在宅医療を提供している貴院の強みは。

 内田 当院の特徴として、私が認知症専門医であることや、精神科医で認知症の診療に長けた医師が多数在籍していることが挙げられます。厚労省のデータでも訪問診療の対象者は約8割が75歳以上の後期高齢者で、なかでも認知症の方の割合が大きい。しかし、ほとんどの認知症専門医は病院にいて、在宅の現場にはあまりいないのが現状です。当院では、そうした認知症を専門とした在宅医療が行えていることが強みの1つであり、ケアマネージャーや他院の地域連携室から多くの患者さまをご紹介していただけている理由なのだと感じています。

 とはいえ、私たち医師が行う訪問診療は、月に1~2回だけです。認知症のケアには周りのサポートが重要になってきますので、普段身近にいるご家族や介護スタッフが認知症の知識をもっておかないと、さまざまなトラブルに対応することができません。そこで私は、多くの方に認知症に関する基礎知識などを身につけてもらうために、セミナー活動なども精力的に行っています。訪問看護や介護施設の集まり、公民館などで講演を重ねながら、認知症に関わる方々に正しい知識を伝え、認知症介護の質的な向上に努めています。

(つづく)

【松本 悠子】


<INFORMATION>
医療法人すずらん会 たろうクリニック

理事長:浦島 創
所在地:福岡市東区名島1-1-31
設 立:2010年12月
TEL:092-410-3333
URL:https://taro-cl.com


<プロフィール>
内田 直樹
(うちだ・なおき)
1978年長崎県生まれ。琉球大学医学部医学科卒。福岡大学病院、福岡県立太宰府病院を経て、2010年より福岡大学医学部精神医学教室講師。福岡大学病院で医局長、外来医長を務めた後、15年より現職。

(後)

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