2022年08月13日( 土 )
by データ・マックス

すべての人が安心して過ごせる社会を――認知症専門医による訪問診療(後)

医療法人 すずらん会 たろうクリニック
院長 内田 直樹 氏
(医学博士 日本老年精神医学会専門医)

 ――「きらり薬局」(社名:HYUGA PRIMARY CARE(株))とのご関係は。

 内田 きらり薬局の黒木哲史社長とは17年来の友人であり、当院の浦島創理事長は、私が福岡大学病院で精神科の医師になったときの指導医でした。私を通じて知り合った2人は、同じタイミングで開業し、一緒に協力しながら大きくなってきました。ちょうどそのころに在宅医療の仕組みができ始めましたので、地域包括ケアシステムの可能性にいち早く気付けた2人だったのだと思います。

 理事長との縁で、私が2015年に当院の院長となってからは、黒木社長とは仕事上でも密接な関係となりました。福岡市と福岡市医師会とが取り組む「ICTを活用したかかりつけ医機能強化事業」における実証実験では、当院がオンライン診療を行う患者さまのもとで、きらり薬局が全国初のオンライン服薬指導を行いました。

 ――今後の取り組みについて。

 内田 現在、福岡市は認知症の人やその家族が生き生きと暮らせるまち「認知症フレンドリーシティ」を目指して、さまざまな取り組みを行っています。そのなかで、19年より進めている、イギリスの「Dementia Action Alliance(DAA)」をモデルとした官民連携を進める取り組み「福岡版認知症アクション・アライアンス(福岡版DAA)」に私も参加しています。認知症の方の暮らしに深く関わる企業へ声掛けし、今年3月に行った勉強会では約40社の参加がありました。

 将来、認知症の方は2060年まで増え続け、1,000万人を超えるという予測もあります。企業には、「認知症は社会全体に関係する」という意識をもってもらい、新たな顧客創造につなげていただきたいと思っています。

 当院においては、より一層訪問診療に力を入れていくうえで、外来も拡充させたいと思っています。これまではご紹介いただいた患者さまで手いっぱいだったのですが、スタッフも増員したことで、1人ひとりの患者さまに、より長い期間寄り添うことができそうです。外来対応することで、診断から看取りまでのシームレスな診療を提供するための体制を強化していきます。

 病気を抱えていても、過ごしたい場所で安心して過ごせる――それがすべての人にとって当たり前の社会の実現に向けて、これからも精力的に取り組んでいきたいと思います。

(了)

【松本 悠子】


<INFORMATION>
医療法人すずらん会 たろうクリニック

理事長:浦島 創
所在地:福岡市東区名島1-1-31
設 立:2010年12月
TEL:092-410-3333
URL:https://taro-cl.com


<プロフィール>
内田 直樹
(うちだ・なおき)
1978年長崎県生まれ。琉球大学医学部医学科卒。福岡大学病院、福岡県立太宰府病院を経て、2010年より福岡大学医学部精神医学教室講師。福岡大学病院で医局長、外来医長を務めた後、15年より現職。

(前)

月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、建設・不動産業界に関すること、再開発に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

記事の企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は別途ご相談。

現在、業界に身を置いている方や趣味で建築、土木、設計、再開発に興味がある方なども大歓迎です。

また、業界経験のある方や研究者の方であれば、例えば下記のような記事企画も募集しております。
・よりよい建物をつくるために不要な法令
・まちの景観を美しくするために必要な規制
・芸術と都市開発の歴史
・日本の土木工事の歴史(連載企画)

ご応募はこちら(nagaue@data-max.co.jp)まで。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)

関連記事