天神から大濠へ移転計画「新・福岡県立美術館」(中)
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大濠公園の利点と期待感(つづき)
7つの候補地のなかから新・県立美術館の建設予定地に選定されたのは、大濠公園の南側に位置する福岡武道館および日本庭園の一部を再整備した場所だった。選定にあたっては、現地調査も実施され、大濠公園の利点として以下の項目が挙げられた。
【大濠公園の利点】
○福岡県を代表する公園であり、セントラルパーク構想における文化施設の集中化という観点から適地である。
○美しい公園のなかに建設されることになり、「福岡市美術館」との相乗効果や「日本庭園」と一体となった美術館整備も考えることができる。
○福岡市営地下鉄「大濠公園駅」から若干距離があり、交通アクセスの面で課題があるが、公園を散策しながらアクセスできるという利点もある。構想実現で交流人口増加へ
利点の1つとして挙げられている通り、大濠公園は県と市が共同で進める「セントラルパーク構想」の舞台であり、今後のまちづくりの起点としての期待感も高い。
セントラルパーク構想は、大濠公園と隣接する舞鶴公園を歴史・芸術文化・観光の発信拠点として一体的に活用することで、公園そのものを広大なミュージアム空間として広く開放しようとする試み。大濠公園と舞鶴公園を合わせた面積は約80haにおよび、これは東京ドーム約17個分に相当する。
構想では、
(1)大濠公園北側エントランス
(2)くじら公園~三ノ丸広場
(3)舞鶴中学校跡地・城内住宅
(4)舞鶴公園線沿線
(5)福岡城本丸・二ノ丸周辺
(6)鴻臚館跡
(7)福岡高等裁判所跡地
(8)大濠公園南側エントランス
と、パーク内を大きく8つのエリアに分ける方針となっており、四季折々の植物・生き物の観察が楽しめる自然公園としての役割をもたせるほか、福岡市美術館の存在を生かし、アートめぐりの拠点としての存在感も高めていく方針だ。新・県立美術館が大濠公園に移転・新設されることにより、至近地にある福岡市美術館と合わせて、国内有数の美術館エリアが福岡に誕生することになる。また、隣接する日本庭園は日本を代表する造園家・中根金作氏が手がけたもので、県美術館と庭園とを一体的に整備することで、日本庭園の良さをいかした魅力ある美術館にすることが可能だ。
ワクチンの開発と配布、接種によって、コロナ禍が落ち着けば、国内外から多くの観光客が訪れる、福岡屈指の交流拠点として大濠公園の認知度は高まるものと考えられる。なお、現在の福岡武道館の閉館時期やその移転先、さらに新・県美術館の開館時期については未定となっている。
(つづく)
【代 源太朗】
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