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2020年11月18日 14:00

『脊振の自然に魅せられて』脊振のすばらしい紅葉(1)

 九州各地の紅葉情報が10月末になると新聞紙面を賑わせ、筆者は今年の脊振の紅葉はどうだろうかと気にかかった。雪、雨、台風などの自然現象は、その年の花の開花や紅葉に強く影響する。7月は長雨が続き、10月には台風9号、10号が九州北部に上陸した。

 写真の編集に時間を取られていたが一段落ついたため、天気予報を確認して11月9日(月)に脊振山頂駐車場に行くことにした。紅葉のタイミングに何とか間に合うだろうと考えた。早朝、コーヒーを保温ポットに入れ、コンビニでアンパンを買い、脊振山方面へ車で向かった。福岡市早良区の椎原のバス停から板谷集落に向かう曲がりくねった山道の県道で、いつものように車を進めた。

 板谷集落から脊振山駐車場へ続く自衛隊道路は工事中であり、一般車両は通行止めで入れなかった。筆者は早良区役所の情報隊員「よかとこ情報探検隊」の一員でもあるため、腕章を警備員に見せ「脊振の紅葉の取材です」と声をかけ、通行止めの柵を開けてもらった。脊振山頂へ続く曲がりくねった自衛隊道路を安全に運転した。途中の作業員の方々に頭を下げ、さらに山道を登った。

 早朝の脊振山頂駐車場に着くと、風があり少し寒く感じた。ジャンバーを羽織っていたが厚手のヤッケをもって来ればよかったと後悔した。登山靴を準備していたが、登山道がぬかるんでいるのではと予測し、スニーカーから長靴へ履き替え、あえて長靴で歩くことにした。蛤岳方面の九州自然歩道へと向かった。

 自衛隊基地裏の九州自然歩道一帯は、今年4月にブナ林を調査した場所である。この一帯は標高が高く、脊振山系では紅葉がもっとも美しい。山道を進むにつれ、紅葉に出会えるという期待で胸が膨らんだ。登山道にかかっていた大きな倒木をくぐると目の前に色とりどりの紅葉が広がっていた。イロハモミジやイタヤカエデが彩を添えて秋の趣を醸し出し、落葉がやや多いものの、紅葉の素晴らしさに感動した。澄んだ空気に包まれた静かな樹木の間から朝の光が漏れ、色づいた赤、黄、緑の葉を照らしていた。

九州自然歩道の落葉

 この日の撮影に用いたカメラは、ニコンの一眼レフカメラ1台のみである。昨夜、ソニーのミラーレスカメラを点検してみると「レンズが確認できない」と表示が出たため、故障したのかとあきらめニコンのデジタル一眼レフを使うことにした。

 久しぶりに使う一眼レフの細かい操作を忘れており、何とか思い出しながら撮影を始めた。 ピント合わせとアングル操作に神経を注いだ。若い時とは異なり、75歳を越えると撮影に時間がかかるようになった。

 ようやく撮影が一段落し、チョコレートとホットコーヒーで頭と体を休めた。コーヒーを飲みながら頭上を見上げると紅葉した樹木とすっかり葉を落とした木々が、大空に吸い込まれるかのように高くそびえていた。

 大空には紅葉した木と落葉した木が仲良く大空のキャンバスいっぱいに広がっていたため、これらの木々を見上げて撮影した。山の静けさのなかでカメラのシャッター音が響いた。時折、青空のキャンバスに雲が流れてくるため、木々の枝の間に雲が流れてくるのを待ってシャッターを押した。雲も、時には写真の大切なアクセントとなる。

脊振のすばらしい紅葉

 ここでの撮影が一段落したため、蛤岳へ足をのばした。九州自然歩道の木道は「落葉の絨毯」となっていた。背景のボケを出すためマクロレンズに交換し、1枚の赤い葉っぱを強調して撮影した。落葉の上を歩くとサクサクと踏みしめる音がして、さまざまな彩がある落葉がきれいであった。

 アップダウンのある山道を1時間ほど歩いて、ようやく蛤岳の肩に着いた。あたりを見回し紅葉のきれいな場所を探し、登りの山道を進むと少しずつ紅葉が現れてきた。昨年、紅葉に感動した場所であったが、すばらしい紅葉になかなか出会えなかった。さらに蛤岳方面へ登ると目の前が急に明るくなり、目の前に紅葉の林が現れた。

脊振のすばらしい紅葉にスマホを向ける女性登山者

 紅葉の林のなかに入り、撮影していると、しばらくして蛤岳方面から下ってくる2人連れの女性の声が聞こえてきた。声をかけると、彼女らは「脊振の自然を愛する会」の道標設置や山開き、脊振サミットなどの活動を知っていた。

 山桜がきれいな場所があるという2人に付いていくと、山道から少し外れた場所に根元から3本にわかれた大きな山桜が現れた。今年の春は山桜がきれいだったという。落葉した山桜を見上げ周りを見渡すと、紅葉が漏れてくる日の光のなかで輝いていた。この日は最高の紅葉のシーンであった。

 紅葉を見上げて撮影する2人の後ろ姿を数枚、撮影した。2人はシートを広げ昼の準備を始めたため、お礼を告げて脊振山駐車場へ踵を返した。撮影に時間を要し、帰宅時間も押していたため、山道の帰路を急いだ。九州自然歩道の木道から左手に筑後川や有明海がぼんやりと見えていた。進行方向に工事中の気象レーダーが目に入り、木道の下の林には紅葉が点々と広がっていた。

 脊振山頂駐車場に着くと午後2時を過ぎていた。山道を急いだため汗をかいており、車の窓を開けて自衛隊道路を下ると、頬に当たる冷気が心地よかった。寒くもあったが、すばらしい紅葉の撮影日となった。

2020年11月16日
脊振の自然を愛する会
代表 池田友行

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