【流域治水を考える】流域治水への転換とは何を意味するのか?(中)
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球磨川でも流域治水議論がスタート
球磨川流域治水協議会が10月27日、開かれた。同協議会は、気候変動にともなう水災害リスクの増大に備えるため、国土交通省が中心となって進めている「流域治水プロジェクト」に基づくもの。全国に109ある一級河川水系で協議会が7月以降順次設置されたが、球磨川水系のみ、「令和2年7月豪雨」の検証作業のため、協議会設置が遅れていた。他の協議会と同様、今年度中をメドにプロジェクトをとりまとめる。川辺川ダムをどう位置付けるかが注目される。
球磨川の治水対策をめぐっては、ダムによらない治水を検討する場、球磨川治水対策協議会、令和2年7月隈川豪雨検証委員会が設置され、断続的に議論が行われてきた。流域治水協議会は、過去の会議体を発展的に解消し、新たに設置した会議体という位置づけになる。
国土交通省からは、国、県、市町村連携で実施する球磨川での流域治水プロジェクトとして、河川区域、集水域、氾濫域の3つの対策が示された。以下、引用する。
河川区域での対策
人命、財産、地域経済への被害を最小化すべく、今次洪水に対して球磨川の河川水位を下げることを基本として、これまで積み上げてきた「ダムによらない治水を検討する場」や「球磨川治水対策協議会」での検討結果、令和2年7月豪雨検証委員会での検証結果も踏まえ、あらゆる治水対策の検討を行い、目標達成へ向けスピード感をもって対応可能なメニューを抽出。
・河床掘削、引堤、雨水排水施設等の整備
・堤防強化
・ダム、遊水地等の整備・活用など集水域での対策
球磨川への流入を抑制するため、集水域での貯留を最大限行う。
・雨水貯留施設の整備、田んぼダム、ため池等の高度利用
・雨水浸透施設(浸透ます等)の整備など氾濫域での対策
減災のために、土地利用、住まい方の工夫などを行うほか、住民の避難行動につながるきめ細かな情報提供などを行う。
・土地利用規制、高台まちづくり誘導、移転促進、不動産取引時の水害リスク情報提供
・二線堤の整備、自然堤防の保全
・輪中堤、宅地かさ上げ、建築規制・建築構造の工夫
・土地のリスク情報の充実、避難体制の強化、経済被害の最小化、被災自治体の支援体制の充実、氾濫水を早く排除する等河川区域、氾濫域の対策は、国をはじめ行政が主体となって実施する。集水域の対策は、企業、住民が主体となる。
席上、流域市町村メンバーからは、「流域治水(の対策)が流れの急峻な球磨川にマッチするのか。(雨水を貯留する)田んぼも少ないし、(流域治水の実施は)厳しいと思う」(錦町長)、「集団での高台移転に関する補助制度の充実をお願いしたい」(相良村長)、「治山域での対策も大切ではないか」(あさぎり町長)などの意見が出された。治山域対策については、国交省から「ぜひ検討項目のなかに含めていきたい」、蒲島郁夫知事からも「治山、間伐についてはできることは躊躇なくやりたい」との回答があった。
(つづく)
【大石 恭正】
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