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2020年12月02日 11:30

【凡学一生のやさしい法律学】詭弁の論理学(5)

 詭弁は、確実に日本の民主主義を破壊している。日本に真の民主主義を実現させるためには詭弁の存在形式を理解し、詭弁を少なくとも日常の社会生活から排除しなければならない。詭弁の論理学は、今の時代にもっとも必要な社会知見である。詭弁はわかりやすくいえば「うそ」であり、「うそ」が蔓延する社会がまともな社会である筈がない。

5. 「政策に反対なら異動発令は当然」発言

 菅総理大臣はかつて官房長官時代に「ふるさと納税」政策を推進した際に、当該制度は高所得者のみに大きなメリットがあり、かつ、市町村間で過度の寄付獲得競争が起こり、国民に対し公平公正であるべき納税制度が損なわれると進言した総務省の官僚を、関連大学の学長へと左遷させたとされ、批判を受けている。そこで、橋下氏は大阪市長時代に進めた政策について官僚の根強い抵抗にあった経験を引き合いに出し、政治家たるもの、有権者に公約した政策を推進する際に官僚に抵抗を受けた場合には、政策を推進するためにその官僚を左遷するのも当然、とした。

 何が詭弁かを、読者はすぐに判断することはできないと考えている。それは橋下氏が実行した官僚の左遷はそれなりに合理的で正当な理由があり、誰しも異論がないためである。つまり、橋下氏はこれまた事例についてその正当性を具体的に議論することなく、政治家が政策を遂行するために反対する官僚を左遷することは当然、と一般論化(問題の抽象化)した。

 すでに読者はお気づきかと思うが、問題は政策の具体的内容であり、官僚の抵抗が理不尽である場合に限り、その理不尽な官僚を排除するために左遷するのは当然ということである。つまり、菅官房長官の推進した「ふるさと納税」の問題点、官僚ならずとも反対する人がいても当然といえる重大な欠陥があったのであるから、官僚の進言は極めて当然で、左遷された官僚は極めて職務に忠実であった。職務に忠実な官僚を問答無用とばかり左遷した政治家の行動は是認されるのか。この問題を橋下氏は詭弁で隠蔽した。

6. 日本の裁判官のほぼ全員が使う詭弁

 証拠と結論の関係が、まったく真逆の関係にあるのは帰納的推論と演繹的推論の差異である。帰納的推論による判決は、結論が先にあって、その結論に都合の良い証拠のみを選択して判決を書く。ただし、文章上の表現は先に証拠を示したあとで結論を述べるため、外から見ると演繹的推論のかたちをしていて区別ができない。

 では、普通の人はどのようにこの詭弁を見破ることができるのか。これは実に簡単なことで、裁判官が訴訟手続の途中で証拠採用を拒否した場合と、あえて証拠を無視したかたちとして、その痕跡が残っている場合である。

 また、場合よっては予想もできない証拠の解釈を示すことがある。被告人の歯型と一致しない毒ぶどう酒ビンの王冠に残った歯型について「人の歯型であることには違いない」と認定した。また、犯行現場周辺が犯行当時は雨天であったとする天候記録に対して、犯行現場300m圏内は雨天ではなかったと認定した判例などである。こんな非常識な事実認定をしても、裁判官が何の責任も負わない司法権の制度が欠陥制度であることは言を待たない。

 友人の弁護士が、「司法修習の裁判研修は現役の裁判官が指導教官となるが、その教官が、判決は先に結論を決めて、それに都合の良い証拠を羅列して書くと説明した」と言っていた。この話を聞くと、裁判官らは著明な法学者・法社会学者である川島武宜博士の名著『科学としての法律学』を読んでいないことが明白である。

 川島博士は同著で、判決を帰納的に書く方法を厳しく批判し、判決は全証拠から演繹される結論でなければならないとした。つまり、判決と矛盾する証拠が存在する場合、それは判決が帰納的推論で書かれた証拠であり、科学的論理性に欠けると指摘した。こんな論理的推論におけるイロハは理系学生なら誰でも理解し知っているが、文系の最高位とされる司法試験の合格者のなかのさらに成績上位者である裁判官はこのように知性がないのが実態である。上記の友人の弁護士は2人の息子を医者にしたが、裁判官や弁護士の実態を知っていたからではないか、と筆者は勝手に推理している。

(つづく)

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