2024年04月19日( 金 )

いよいよ今年度中の事業者公募へ 九大・箱崎キャンパス跡地再開発(後)

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動き出した再開発――スーパーシティの可能性も

第15回箱崎キャンパス跡地利用協議会

 10月27日、旧工学部本館で「第15回箱崎キャンパス跡地利用協議会」(委員長:坂井猛・九州大学大学院教授)が開催された。同協議会は、箱崎キャンパス跡地グランドデザインの実現のため、跡地利用に関する必要事項の連絡や協議を行うことを目的に、福岡市と九州大学が設置したもの。13年7月の第1回の協議会開催以来、年に2~3回のペースで協議を重ねてきた。

 今回は、これまで進めてきたグランドデザイン策定以降の検討内容や、事業者公募に向けた検討状況および今後の進め方などを報告。その後、参加した委員からは、「4校区が使いやすい防災拠点施設の整備についても、いろいろと協議・検討してほしい」「跡地に居住地域もできると思うが、公共の集会所の設置・確保をお願いしたい」「“どこにでもある”まちではなく、“九州大学がここにあった”ことを示すまちづくりを期待する」「建築物をつくって終わりではなく、その後のマネジメントについても、きちんと事業者公募で提案してもらいたい」「公募にあたっては、地場の中小企業にも仕事が回る仕組みを」「市のハザードマップではエリアのほとんどが洪水浸水想定区域となっているため、地区計画と併せて、地区防災計画のようなものもつくっていただきたい」――などといった意見が寄せられた。

 現在、グランドデザインにおけるまちづくりの方向性や、都市計画の決定・変更手続きを踏まえて、事業者公募に向けた条件整理が進められている。公募で提案を求める範囲は、箱崎キャンパス跡地などのまちづくりエリアのうち、九州大学所有(一部、UR所有を含む)の一体的な利用が可能なエリアとして、九州大学とURなどとで協議を実施。北エリアの一部を含む南エリアの大部分となる(今後の検討で変更の可能性あり)。また、都市空間および都市機能などのまちづくりに求める条件については、民間事業者へのサウンディングを実施しながら事業者公募に向けた準備を進めていく予定で、コロナ禍を踏まえたオープンスペースの確保などの新しいまちづくりへの取り組みも盛り込まれる予定。サウンディングは20年10月5日~11月30日の期間で行われ、20年度中には事業者公募が開始される予定。その後、公募手続きを経て、21年度には事業者が決定し、そこから箱崎キャンパス跡地における新たなまちづくりが始まっていく見通しだ。

事業者公募スケジュール

 一方、内閣府が進める「スーパーシティ」構想を実現するための国家戦略特区法改正案―通称“スーパーシティ法案”が20年5月に成立。10月には「国家戦略特別区域基本方針」の一部変更が閣議決定された。スーパーシティの対象区域となる地方自治体の応募は12月にも開始され、21年3月までに全国5カ所ほどの区域が指定される見通しだ。福岡市内においては、箱崎キャンパス跡地がグリーンフィールド型(新規開発型)の適地と目されており、スーパーシティの区域指定の行方によっては、より最先端・高機能な未来型の都市が誕生する可能性も秘めている。

 伊都キャンパスへの統合移転決定から29年、統合移転開始から15年、そして移転完了から2年のときを経て、九大・箱崎キャンパス跡地に描かれてきた未来図の実現がようやく現実味を帯びてこようとしている。

(了)

【坂田 憲治】

(中)

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