2022年06月27日( 月 )
by データ・マックス

「あったらいいね」を具現化、 AIを駆使して佐賀から世界へ

(株)オプティム 経営企画本部/社長室
ディレクター 友廣 一雄 氏

 2014年10月に東証マザーズに上場し、15年10月には東証一部への市場変更をはたしたソフトウェア開発会社の(株)オプティム。同社は、代表の菅谷俊二氏が佐賀大学農学部に在学中に起業した佐賀大学発のベンチャー企業で、15年11月には佐賀県選定の「佐賀さいこう企業」として表彰を受けた。さらに、17年10月には東証一部上場企業として初めて国立大学(佐賀大学)の構内に本店を構えたほか、20年6月には佐賀銀行と共同で合弁会社を立ち上げるなど、創業の地・佐賀との結びつきも強い。

 ――御社の事業内容についてお聞かせください。

(株)オプティム 佐賀本店
(株)オプティム 佐賀本店

 友廣 当社では①「インターネット接続(サポートサービス)」、②「パソコン利用者などへの遠隔サポート(リモートマネジメントサービス)」、③「コンテンツ使い放題(その他サービス)」、④「セキュリティ対策(IoTプラットフォームサービス)」という4つの事業を軸に展開しています。

 それぞれの事業を簡単に説明いたしますと、まず①の「インターネット接続(サポートサービス)」はAIを活用して自動でインターネット接続を行うサービスで、西日本電信電話㈱(NTT西日本)と東日本電信電話(株)(NTT東日本)の「フレッツ光」などで利用されています。

 続いて②の「パソコン利用者などへの遠隔サポート(リモートマネジメントサービス)」は、パソコンなどの利用者がソフトをインストールすれば、オペレーターと画面を共有し、説明を受けることができるサービスです。以前はコールセンターと口頭でやり取りしていたのが、画面を見ながらのやり取りができるようになったことで、サポート時間の大幅な短縮が可能です。九州の企業では㈱QTnetが提供するサービスの「BBIQ」で導入されています。

 ③の「コンテンツ使い放題(その他サービス)」は月々定額で雑誌などが読めるサービスです。新刊は読めませんが、検索機能がついており、あるワードで検索すると提供している雑誌などのコンテンツのなかからそのワードについて書かれた雑誌の当該ページが表示されます。雑誌社にとっても「40代男性がどのページに興味をもっているか」といったデータが取れるメリットがあります。

 ④の「セキュリティ対策(IoTプラットフォームサービス)」は4つの事業のなかでも核といってもいい事業で、企業向けのスマホ・タブレット・パソコンなどのIT機器のセキュリティ対策や設定を行うサービスです。総務など会社の管理部門の権限で、特定部署あるいは社内全体にソフトをインストールしたり、機能を制限したりできます。モバイルデバイス管理サービス(MDM:Mobile Device Managementの略)部門において国内トップシェアを占めており、法人利用は約18万社の方々に利用していただいています。

(株)オプティム 経営企画本部/社長室
ディレクター 友廣 一雄 氏

 これら4つの基盤事業のほか、現在力を注いでいる事業についてお話しします。当社のスローガンは「世界一、AIを実用化させる企業になる」です。そのために何をすべきか。キーワードは「〇〇×IT」です。要するに既存の事業にITを組み合わせるということで、〇〇は企業が、ITは当社が担い、現在、「農業」「エネルギー」「小売」「医療」「建設・土木」「金融」「製造・ロボット」の各分野の企業や、自治体などと連携した取り組みを行っています。

 上記のなかから特徴的な取り組みをいくつか紹介すると、例えば農業分野ではドローンを使って農耕地を空中から解析しています。ウンカの発生が確認されれば、従来であれば農地全体に農薬を散布していましたが、発生場所にピンポイントでの農薬散布が可能となります。同じく農業分野では農地の調査資料作成支援ソフトウェアの研究開発を行っています。このソフトを使えば、ドローンの映像から作付確認、測量支援などが可能です。これまで人が現地に赴き確認していたことをドローンが行うので、大幅な業務効率化が期待できます。現在、長崎県五島市、佐賀県白石町で行っており、佐賀市では実証実験を行っている最中です。こうした展開を全国規模に拡大していきたいと考えています。

 医療分野においては佐賀大学医学部と共同で研究所を設立。熟練の眼科医の読影技術をAIに学習させる取り組みを行ったり、佐賀県鹿島市にある織田病院に高齢者を遠隔から見守り、診療するクラウドサービスを提供したりしています。

 建設・土木分野では、松尾建設さまと共同で、「スマホで簡単測量」のソフト開発も進めています。現場の皆さまの大幅な業務効率に寄与できると思います。

農地の解析を行うドローン
農地の解析を行うドローン

 ――実に多様な取り組みをされていますが、それらを実践するには高い技術力が必要だと感じます。

 友廣 当社は「あればいいな」をかたちにすることをモットーにしており、当然高い技術力が求められます。そのため創業当社から今日に至るまで独自技術を知財で保護することにより新しい市場、顧客を開拓してきました。日本経済新聞社による中堅上場企業「NEXT1000」を対象とした、売上高研究開発費比率の過去3年平均のランキングでは光栄なことにナンバーワンに輝きました。

 現在、お越しいただいている場所は(佐賀本店、佐賀県佐賀市)ですが、上場企業としては国内で初めて国立大学構内に本店が建てられました。佐賀に本店があるというのが影響しているのかもしれませんが、県内の有力企業である松尾建設㈱(1名)、㈱佐賀共栄銀行(1名)、㈱佐賀銀行(3名)、佐銀コンピュータサービス㈱(1名)の計6名の方が、こちらで我々と一緒に働いてくれています。

 本店が教育機関である大学のなかということもあり、教育にも力を入れています。8月に小学校5年生、6年生を対象とした「プログラミング勉強会」を開催。同勉強会では3日間にわたってパソコンでの基本操作やプログラミングの基礎を学んでもらい、最終日にはプレゼンテーションをしていただきました。また2016年4月からは佐賀大学の学生を対象としたセミナー「2年間でできる‟がばいベンチャー“のつくり方」も開催しています。年間60コマ、2年間でアントレプレナーの育成を図るセミナーで、「アントレプレナーシップとプログラミング入門」「知財戦略とプログラミングの活用」などについて学んでいただいています。

 ――佐賀本店と東京本社との役割の違いはなんでしょう。

 佐賀本店は「Poc」(Proof of conceptの略。概念実証の意味で、理論やアイデアの実証を行うこと)の場という位置づけですね。前述のドローンを活用した農業・農政支援などの実証実験にしても広大なフィールドを有する佐賀だからこそ実施できるのです。東京・大阪などの大都市で同じことをしようと思っても限界がありますしね。当社としては地元・佐賀、九州の企業と一緒になって新しいこと、面白い取り組みをして、それがかたちになったら全国へと広げていく。それが佐賀本店のはたす役割だと考えています。

 ――今後、注目されるであろう技術、サービスはありますか

 インターネット上には膨大なデータが蓄積されています。もはや人間の能力では処理しきれない量で、それをAIが担っていくことになります。たとえば視覚領域では店舗などにAIを搭載したカメラを設置することにより、「この商品はこの世代の男性(もしくは女性)に興味をもたれている」といったことが解析できますし、前述の空港の待ち時間を計測するといったことも可能です。聴覚でいうと会議中の会話をAIが解析し議事録にするといったことも可能です。

 最近の面白い取り組みとしては、サッカーJリーグに所属する京都サンガF.C.のアプリ「京都サンガF.C.アプリ」におけるスタジアム周辺の混雑状況をお知らせするサービスが挙げられます。10月16日からサービスが開始された同アプリでは「スタジアム周辺の混雑状況確認」というコンテンツで、JR亀岡駅周辺と「サンガスタジアム by KYOCERA」北出入口に設置したカメラ画像により、混雑状況をリアルタイムで表示。最寄駅からスタジアムまでの混雑状況の確認が可能で、新型コロナウイルス対策も期待できます。

 また、松尾建設と共同で、最新のiPad Proで測量対象物をスキャンするだけで簡単に高精度な3次元測量ができるアプリ「OPTiM Land Scan」を開発しました。従来、二人一組で行っていた測量を、いわゆる「素人」でも簡単に行えます。同アプリを使うことで測量時間の短縮や人手不足解消もできるでしょう。

 ――業績も右肩上がりで好調ですが、その要因は。

 友廣 まずは既存業務である4つの事業が安定していることが挙げられます。そして、そこから派生してくる新しいビジネスに対し、日本を代表するような大企業がパートナーになっているのも強みで、パートナーである企業からのアイデアを具現化していきます。それを実現できるのは強いリーダーシップのもとに全社を1つにまとめていく当社代表・菅谷の存在も大きいですね。

 当社は3月に佐賀銀行と共同で合弁会社「オプティム・バンクテクノロジーズ㈱」を設立。私が代表取締役に就任しました。事業内容としましては、金融ソリューションを開発して全国の金融機関へ販売する「地銀DX」、当社のAI・IoTソリューションやサービスを販売する「地域DX」、AI・IoTを活用したマネジメント、起業家教育を含む「教育事業」。企業支援およびアプリケーション開発企業支援などの「ファンド事業」を行っています。こうした取り組みを通じ、佐賀および九州から世界で活躍するような企業が誕生するお手伝いができたらと考えています。

【新貝 竜也】


<COMPANY INFORMATION>
(株)オプティム

代 表:菅谷 俊二
所在地:東京都港区海岸1-2-20汐留ビルディング 21F
登記上:佐賀市本庄町1オプティム・ヘッドクォータービル
設 立:2000年6月
資本金:443百万円
URL:https://www.optim.co.jp

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