コロナ禍のオフィス市場トレンド 空室率はやや上昇、21年の動向予想は?(後)
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オフィス市場動向・福岡
福岡のオールグレード空室率は、Q3で1.2%(Q2比+0.6%)へ上昇。新設・拡張ニーズが縮小するなかで、既存物件は空室消化ペースが低下、新築ビルは空室を残して竣工したことが主な要因だという。オールグレード賃料は、天神や博多の再開発により新築ビルの需要が高く、コロナ前は四半期で2%前後も上昇するなど勢いがあったが、Q3の平均賃料は1万6,460円(同▲0.4%)とやや下落した。
永松氏は、「福岡は対面営業の支店・営業所機能が主体であり、本社の管理部門ほどリモートワーク化をしていない。拠点性も高いため、解約・縮小の動きは少ない。リーマン・ショックのように金融がダメージを受けているわけではないため、回復は早いだろう」と見る。
21年の「(仮称)天神ビジネスセンター」、22年の「旧大名小学校跡地活用事業」など大型開発が控え、天神地区の賃貸オフィスは22年末までに約4万坪の増加が見込まれる。永松氏は「コロナ禍から回復するまでは新築オフィスが需要を吸収しきれず、空室率は22年に2%台前半まで上昇すると予想。賃料は短期的にはやや下落傾向だが、24年にかけて緩やかに回復する見通し。福岡は非常に強い潜在需要があるマーケットで、周辺部は賃料が低下しても、都心部に竣工する大規模ビルが賃料を押し上げるだろう」と話す。
CBRE福岡支店では21年1月から、マーケット特性に合わせた不動産投資や開発、企業が保有する不動産の利活用をサポートするコンサルティング・サービスを開始する。永松氏は「コワーキングスペースなどのフレキシブルオフィスは、コロナ禍で伸びているが、通勤時間が短く“密”になりにくいため、リモートワーク化がどこまで進むか、今後の動向に注目したい」と話した。
セットアップオフィス・居抜きオフィス動向
入居時に内装や什器が完備されたセットアップオフィスでは、「入居企業のメリットは内装費用が必要ないことだが、約5年以上の契約では一般的なオフィスのほうが割安。オーナーのメリットは高めの賃料を設定できることだが、今後、空室率が上がると、賃料を高く設定しづらくなるリスクはある。築年数が経った中小型ビルの競争力を高める手法で、東京で需要があるが、福岡ではオフィス人数の増減が少なく、通常のオフィスより契約期間を柔軟に調整できるメリットを出しにくいため、親和性が低いのではないか」(永松氏)。
東京では、とくにIT企業で入居時の内装工事費用、退去時の原状回復費用を抑える、居抜きオフィスの募集が増加。プロジェクトのスピードが速まり、短い入居期間の需要が増えている。
(了)
【石井 ゆかり】
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