下関北九州道路が3月にも正式決定へ
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国土交通省が調査検討を進めている下関北九州道路について、早ければ、2021年3月にも事業化に向けた方針が正式決定される見通しであることがわかった。
国交省は20年12月中旬、旧彦島有料道路(下関市彦島)と北九州都市高速道路日明IC(北九州市小倉北区西港町)を結ぶ約8kmのルートで事業化を目指すことを発表。海峡部は約2.2kmの吊り橋を架ける。2.2kmの吊り橋(長大橋)には、海峡部の新たなランドマークとしての期待もかかる。このルートが完成すれば、両市中心部への移動時間は7分短縮の21分になると試算している。
ルート選定には、臨海部を迂回するAルートと今回決定のルート(Bルート)、最も狭い海峡部を結ぶCルートとを比較したが、Aルートは時間短縮効果がないほか、家屋の移転をともなうことから候補から外れた。Cルートは、集落や市街地への影響が大きいことから見送られた。事業費は2,900億円~3,500億円を見込んでいる。当初は、PFI的な手法による事業運営も検討メニューに入っていたが、事業規模に見合った民間事業者を選定することが困難なため、見送られる可能性が高い。
対応方針が正式決定された後は、都市計画決定、環境アセス調査などを実施した後、事業採択され、事業着手という流れになる。ただ、関係者によれば、環境アセス調査には最低でも4年間を要するほか、道路建設には少なくとも10年程度を要すると見られており、開通時期は、早くても35年前後になる見通しだ。
下関北九州道路が開通すれば、関門橋(1958年開通)、関門トンネル(73年開通)に次ぐ、関門海峡を結ぶ第3のルートが誕生することになる。既存の2ルートは老朽化が進行していることから補修工事が実施されているが、いずれ本格的な改修工事が必要になると見られている。
下関北九州道路は、両市の移動時間を短縮するためというよりも、新たな代替路を建設することにより、本州~九州の物流の大動脈を確保するという意味合いが強い。橋梁、トンネルの本格改修には、全面通行止めをともなうからだ。下関北九州道路が完成すれば、物流への影響を抑えながら、既存ルートのリニューアルを実施できるというわけだ。
ある関係者は「新たな関門ルートの確保は、九州の物流、引いては日本の物流にとって必要なこと。地元だけでなく、九州、日本のための道路だということを理解してほしい」と話す。
【大石 恭正】
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