2024年03月29日( 金 )

西鉄高架化、駅前再開発も控える 住宅都市・春日&大野城の今昔(4)

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急激な人口増に合わせて両市内の施設・機能が充実

 戦後の福岡市の復興・発展にともなう近郊のベッドタウン化は、春日・大野の両村にも押し寄せ、国道や鉄道に沿って住宅団地が開発されて人口が急増。50年10月に大野村が大野町に、53年1月に春日村が春日町になったほか、72年4月には市制施行により、現在の春日市と大野城市が誕生した。なおこのとき、当初は大野町から「大野市」となることが申請されたが、すでに同一市名が福井県にあったことで自治省の指導によって新市名を決定する運びとなり、新市名審査会での圧倒的多数での推薦で「大野城市」となったという。

大野城心のふるさと館
大野城心のふるさと館

 70年代に入ると、両市では福岡市に隣接している地の利と、鉄道路線や幹線道路が整った交通利便性に恵まれて、団地造成や住宅地開発が行われ、急激に人口が流入。エリア内の産業も多様化し、各地で新たな施設などが誕生していった。たとえば、米軍に接収されていた大野城市の中央兵器工場の跡地では、終戦直後には空襲で焼失・移転を余儀なくされた博多織工場が進出して操業していたが、衣服需要の変化によって業界が縮小し、やがて撤退。その跡地に77年9月に開業したのが、福岡市郊外における初の大型総合小売店となる「ニチイ大野城ショッピングデパート」だった。それまでのスーパーに比べて品数が豊富なのに加え、西鉄春日原駅に近くて駐車場も備えていることで、近隣各地からの集客で大いに賑わい、後に拡張・増築が行われ、98年11月にはシネマコンプレックスも併設する「大野城サティ」としてリニューアルオープン。その後、2011年3月には「イオン大野城ショッピングセンター」となった。

 87年4月には大型商業施設「ダイエー下大利店」が開業。九州地方初のミニ映画館が併設されるなど話題を集めたが、ダイエーの経営不振によって一時は閉店が検討される事態に陥った。その後、15年9月にイオン九州への営業権の承継により「イオン下大利店」となったが、建物の老朽化を理由に19年3月に閉店。現在、跡地で再開発が進んでいる。

 96年11月には福岡県の男女共同参画センターや人権啓発情報センター、総合福祉センターなどで構成される県の複合施設「クローバープラザ」が開館したほか、97年3月には西友が運営するショッピングセンター「ザ・モール春日」(現・アクロスモール春日)が開業。2011年10月には商業施設ゾーンと住宅ゾーンからなる新市街地「春日フォレストシティ」が誕生し、18年7月には市民ミュージアム「大野城心のふるさと館」が開館するなど、両市ではさまざまな施設・機能の充実が続いている。

左:クローバープラザ/右:春日フォレストシティ

 こうした施設が次々と誕生する一方で、75年3月に九州自動車道・太宰府IC、89年3月にJR春日駅、90年4月に新幹線・博多南線のJR博多南駅、99年3月には福岡都市高速・2号太宰府線の開通にともない水城出入口ができるなど、交通インフラが充実して利便性はさらに向上。両市は住機能と商業施設の充実による住みよさに加え、交通利便性の高さでベッドタウンとしての魅力をさらに増しながら、現在に至っている。

春日市商工会 会長  吉岡  統三

 当商工会では、会員の皆さまの経営支援に特化したサービスを展開しています。2010年度から5年連続で、経営支援の柱を毎年1本ずつ掲げて会員ニーズの多様化に対応していく“多柱運営”の取り組みを進めており、これまでに「管理会計」や「事業承継」「創業支援」「伴走支援」などの柱を立ててきました。その柱の1つである「経営革新」では3年間で100件の承認を目指して達成したことで、14年に開催された全国商工会連合会の「21世紀商工会グランプリ」においてグランプリを受賞するなど、会員企業の経営支援を本分とする我々の取り組みが評価されたのだと考えています。また、19年には当商工会主催で「第1回 春日まちゼミ」というイベントを開催し、市民の皆さまに地元のお店を知ってもらうことで、地元の商店街支援につなげる事業なども行っています。

 春日市は住みよいまちとして評価されていますが、やはり市の元気さを示すバロメーターとは、子どもが元気で、商売人が元気ということだと考えています。さらに元気で住みよいまち・春日にしていくべく、当商工会でも行政と密接に連携し、地域経済の活性化を図りながら地域振興に寄与していきたいと思います。

(つづく)

【坂田 憲治】

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