2024年05月04日( 土 )

【地銀】九州FGが第3次中期経営計画発表 24年3月期は純利益260億円目指す

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 金融持株会社の九州フィナンシャルグループ(熊本市)は3月24日、第3次中期経営計画(21年4月―24年3月)を発表した。店舗の統廃合や業務のデジタル化によって非金融部門の収益力を高めて、計画最終年度の24年3月期決算では当期純利益260億円を目指す。260億円は、21年3月期決算予想比1.7倍に相当する。

 同社は、肥後銀行(熊本市)と鹿児島銀行(鹿児島市)が経営統合して15年10月に設立、2次計画ではグループ一体経営によるシナジー効果の最大化を挙げていた。3次計画は、長期化する政府の超低金利政策、自然災害、コロナ禍という周辺環境を念頭に置き、非金融分野への進出を急ぐ。

 グルーブ内の銀行と証券会社が一体となった顧客への資産運用の助言、取引先企業に対するМ&A提案など、事業承継や経営改善のアドバイスといったコンサル業務を推進。各種手数料や仲介料、報酬などを増やす。

 さらに、政府がデジタル庁の設置やマイナンバーカードの普及推進を軸にデジタル戦略を本格化するのをにらみ、地域企業のデジタル変革(デジタル・トランス・フォーメーション)を子会社の「肥銀コンピュータサービス」などを通じて支援する。

 その一方で肥後銀行、鹿児島銀行合わせて約250店舗のうち約60店舗を、1つの店舗に複数の近接店舗が同居する「ブランチ・イン・ブランチ」などで店舗体制を見直して340人規模の要員を確保。非金融部門やグループ会社に配置転換する。併せて120億円規模のデジタル投資で自社のデジタル変革に取り組み、行内業務の効率化も進める。

 同社は主地盤の熊本県と鹿児島県で全体人口が減り続ける半面、県庁所在都市と周辺エリアへの人口集中が止まらない。この経営環境のなか、安定した「預貸ビジネス」を残しつつ、コンサル業務など非金融ビジネスへの切り替えにどう取り組むか。3次中期経営計画は、同社が今後3年間で真の『地域価値共創グループ』に脱皮できるかを計る試金石になるとみられる。

【南里 秀之】

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