2022年05月19日( 木 )
by データ・マックス

コロナ禍で様変わりする冠婚葬祭業界 ニューノーマルなサービスを提案

(株)ラック

冠婚葬祭に関わるサービスをワンストップで提供

 福岡で冠婚葬祭などのセレモニー事業を手がける(株)ラックの始まりは、1967年12月に故・柴山文夫氏が設立した(株)西日本ウェディングセンターを前身とする冠婚葬祭互助会事業者。70年に(株)西日本互助センターへと商号を変更。その後、84年4月に(株)博愛互助センター(74年設立)と合併し、現商号となった。

 社名(ラック/LAC)の由来は、「Life Living and Culture Convenience」の頭文字からとったもので、多様化する生活シーンを文化として捉え、より豊かな生き方の提案を基本コンセプトとした、今後の方向性を提示したものだ。同社の企業理念にある「私たちは日本人の喜び、哀しみといった通過儀礼の施行(サービス)を通じて、民族の儀式文化の応援団になります」にも、それが表れている。

 同社が手がけているのは、大きく分けて冠婚事業と葬祭事業の2つ。冠婚事業であるウエディング事業では、福岡市博多区の「Ritz5」と大分市の「Pulse5」の2つの結婚式場を運営。また、関連して、ドレス事業の「Lazy Cinderella」と、フォト&プロデュース事業の「RES WEDDING」をそれぞれ手がけている。一方の葬祭事業では、「西日本典礼」を福岡県・佐賀県で22カ所、「大分典礼」を大分県で5カ所の合計27カ所を運営している。

 関連会社には、霊柩車事業を手がける(株)西日本博愛社のほか、美容着付事業を手がける(株)ジョイさんわ、人材派遣事業を手がける(株)NAVY・STAFF・SERVICE、贈答品卸売・花卉・旅館・ペット霊園事業を手がけるシマ商事(株)の4社がある。

 事業展開でもわかるように、喜びや悲しみといった日本人の人生における通過儀礼に関わるサービスを提供していくことが、冠婚葬祭互助会である同社のビジネスモデルとなっている。

人生の四季を織りなす節目の儀式を演出する 儀式文化の応援団になる

 日本人の人生における通過儀礼の分野で究極のサービス提供に努め、事業を拡大してきた同社だが、19年12月、創業者であり前代表の柴山文夫氏が逝去。その後任として、20年1月に松井秀二氏が代表取締役社長に就任した。

 松井社長は、「これまで柴山社長が幾多の苦難を乗り越え、築き上げてきたこのラックという会社を、さらに『社会に必要とされる会社』にしていくために、柴山社長の意志や考え方、そして企業文化などをきちんと継承していくことが重要だと感じています。社員同士の結束を強める社内イベントの数々を始め、ほとんどの社員にとっては、とても身近で、当たり前にあるラックの企業文化ですが、そのすべては1つひとつ、柴山社長が長い年月のなかで心血を注ぎながらつくり上げてきたものです。残された我々は、あの柔和な笑顔と気概を胸に、『柴山イズム』といえる企業文化をしっかりと継承しながら、前へ進み続けていかなければなりません」と就任当時を振り返る。

 また、同社では、「Ritz5」や「Pulse5」での「おもてなしのウエディング」や、西日本典礼・大分典礼の「幸せ葬」の展開により、潜在顧客の掘り起こしにも注力している。

 「ビジネスはマーケティングとイノベーションが生命線です。また、お客さまに魅力的な商品サービスを提供すること(マーケティング)と、ブルーオーシャン戦略(イノベーション)を展開するためには、Be daring(勇気をもって)、Be first(誰よりも先に)、Be different(人と違ったことをする)が必要です。ただし、婚礼事業については市場そのものが縮小傾向にありますから、無理な拡大を目指すのではなく、安定的な売上確保を目指していきます。典礼事業では、故人の趣味・趣向に沿った展示を行ったり、従来の読経やお焼香だけではない『音楽葬』などの新しいかたちの儀式の演出を行ったりすることで、故人の意向とご遺族のお気持ちに、さらに寄り添っていきたい」と松井社長は語る。

かけがえのないひとときを提供するため、安全対策に細心の注意を払う

大好評の「婚礼料理の宅配」

 婚礼事業では婚姻件数の減少や少子化、結婚式の縮小傾向が影響し、典礼事業では競争激化と葬儀の多様化により、冠婚葬祭業界は変化を求められていた。そんななか、新型コロナウイルスが猛威をふるった。当然、同社も多くの影響を受けることとなった。

 婚礼事業ではキャンセルや延期が相次ぎ、典礼事業では家族葬などの小規模な葬儀が増加した。葬儀の数は増えているものの、客単価が下がったために前期比の8割程度の売上になっているという。

 同社では新型コロナウイルス感染症が収束するまでの間、顧客の安心・安全を守るため、「新型コロナウイルス感染拡大防止ガイドライン」に基づき、さまざまな取り組みを行っている。

 施設・従業員の衛生管理については、「消毒液の設置」「店内消毒の実施」「換気の実施」「マスク着用による接客の実施」「飛沫防止ボードの設置」「フィジカルディスタンスの設定」を徹底。結婚式では顧客からの相談に、柔軟に対応するため、「オンラインウェディング」や「2部制ウェディングプラン」「婚礼料理の宅配」といったニューノーマルウェディングを提案している。これは「安心してかけがえのない幸せなひとときをお過ごしいただきたい」という同社の想いから生まれた企画だ。

 葬儀でも人が密集した空間にならないように、家族葬であっても「あえて広めの会場」を提案。また、遠方の遺族や友人はオンラインで参加できる体制を整えている。さらに、誰でも気軽に相談ができるように、LINEでの無料お葬式相談を昨年8月からスタートさせた。同10月末には家族葬に特化した斎場「INORIA七隈ホール」もオープンさせた。同斎場では、リモート葬儀への対応や感染症対策に重きを置いたきめ細やかなサービスを提供していく。

 「こういった状況ですので、少しでもお客さまの不安を取り除くことができるよう、考え得る限りの対策や新しい提案を行っていきたい」と、松井社長はいう。

Zoom を利用したオンライン葬儀

<COMPANY INFORMATION>
(株)ラック

代 表:松井 秀二
所在地:福岡市博多区東比恵3-14-25
設 立:1967年12月
資本金:6,575万円
TEL:092-473-0101
URL:http://www.j-lac.com


<プロフィール>
松井 秀二
(まつい しゅうじ)
1956年11月、福岡市博多区出身。79年に日本経済大学経営学科を卒業後、(株)西日本互助センター(現・(株)ラック)に入社。冠婚事業部RITZ5課長やRITZ5支配人、冠婚事業部部長などを経て、2007年冠婚事業部執行役員、09年取締役、12年常務取締役に就任。20年1月に同社代表取締役社長に就任した。

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