2024年04月24日( 水 )

施設間連携で一体的なバリアフリー化図る国交省が基本構想等ガイドライン改訂(前)

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 国交省は3月16日、「移動等円滑化促進方針・バリアフリー基本構想作成に関するガイドライン」を改訂した。今回の改訂は、2020年5月の「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(以下、バリアフリー法)」の改正による「心のバリアフリー」の推進や、「移動等円滑化の促進に関する基本方針」(以下、基本方針)の21年4月改正による、移動等円滑化促進方針(以下、マスタープラン)や基本構想の地区設定に関する要件の見直しを踏まえたものだ。

マスタープラン

マスタープラン・基本構想のイメージ図
マスタープラン・基本構想のイメージ図

 本ガイドラインでは、バリアフリー法に基づき、市町村が、旅客施設を中心とした地区や高齢者や障がい者などが利用する施設が集積する地区に「移動等円滑化促進地区」を設定し、同地区の面的、一体的なバリアフリー化の方針をマスタープランとして作成する際の手順や留意点などを解説している。このマスタープランにより、高齢者や障がい者、事業者などが考え方を共有し、誰もが平等に社会進出できるよう移動環境を整えることで、外出機会を増やし、まちが活性化されることが期待されている。

 旅客施設や公共施設、道路それぞれをバリアフリー化するだけでなく、駅から道路への接続部分に段差があって通りづらい場所などを、日常利用される施設や道路、都市公園、路外駐車場などの事業者が連携して、バリアフリー化し、連続して不自由なく移動できるようにすることが目的だ。今回の改訂では、バリアフリー法改正により高齢者や障がい者などの特性を住民や関係者が理解し支え合えるよう、「心のバリアフリー」を促す取り組みなどを具体的に記載することが必要となったことを踏まえ、参考となる事例などを充実させている。また、具体的な地区の要件に対する考え方についても、市町村において柔軟な地区設定を行えるよう記載を変更している。

 市町村がマスタープランを作成し、当該計画に市町村が行う情報提供について記載すると、対象施設の事業者(※)はエレベーターや障がい者用トイレの有無などのバリアフリー化の状況を報告することとなり、バリアフリーマップ作成に向けた情報収集が円滑化される。また、旅客施設から道路などの連続したバリアフリー化を行う際には、施設間連携を図ることができるよう、事業者は工事着手30日前までに改修工事内容について市町村への届け出が必要となる。

※【義務】旅客施設、特定道路【努力義務】特定路外駐車場、特定公園施設、特別特定建築物

バリアフリー基本構想

 市町村がバリアフリー化を実際に行う「重点整備地区」を設定し、具体的な事業内容を「基本構想」として作成すると、既存施設もバリアフリー整備の義務化の対象となる。今回の改訂では、バリアフリー法改正により、バリアフリー設備などのハード面の整備効果が発揮されるよう、ソフト面での事業として、公共交通事業者などにおけるユニバーサルマナー研修などの心のバリアフリーを行う「教育啓発特定事業」が基本構想に追加され、その具体的な事業の位置づけの留意点などを追加している。マスタープランと基本構想は、5年ごとの見直しが努力義務とされる。

(参考)基本構想に位置づけられる特定事業
(参考)基本構想に位置づけられる特定事業

(つづく)

【石井 ゆかり】

(後)

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