2024年04月24日( 水 )

福電協・新理事長に堀内重夫氏「事業承継の受け皿づくりと組合員増加を目指す」(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
福岡電気工事業協同組合 理事長 堀内 重夫 氏
((株)堀内電気・代表取締役)

 福岡電気工事業協同組合(以下、福電協)の歴史は戦前まで遡る。戦時中の統制経済への移行とともに、鋼鉄類の入手が個々の業者では困難となり、かつ配給制度が実施され、その受給機関として1942年4月に福岡電気工事組合が設立された。終戦とともに同組合は自然解散となったが、戦後の復興と進駐軍施設の設営工事の円滑化を図るため、協同組合へと組織形態を変更し、現在に至っている。5月13日に開催された今年度の第1回理事会で、第19代の理事長に堀内重夫氏((株)堀内電気代表)が就任することが決まった。堀内新理事長に、今後の抱負などを聞いた。

(聞き手:(株)データ・マックス 執行役員 鹿島 譲二)

事業者同士のマッチング

 ――組合の業務内容について、教えてください。

理事長・堀内 重夫 氏
理事長・堀内 重夫 氏

 堀内 電気工事業に関する指導・教育、電気工事業に関する情報、資料の提供、電気工事業に関する調査研究のほか、電気工作物の保守管理業務の共同受託、九州電力送配電(株)からの委託を受けて、お客さまのお宅にうかがって電気設備の安全調査を行う「福岡県電気安全サービス」事業などを行っています。

 また、勉強会の開催も行っていますが、今後はより活性化させていかなければなりません。現在、第一種電気工事士と第二種電気工事士試験に向けた学科・実技講習を行っています。また、高さ5mを超える場所での作業に関しては、19年2月に建設業法が改正され、フルハーネスの着用が義務付けられました。そこで、当組合では「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育」の講座も開いています。

 ――そうした取り組みをすることで魅力が高まり、組合員増加につながるのではないでしょうか。

 堀内 500万円以上の現場を請け負うには建設業許可が必要なのですが、電気工事業者のなかには、許可を受けていない方も大勢いらっしゃいます。そういった方々に当組合に入会してもらい、建設業許可や各種資格の取得をお手伝いすることで、業界全体の底上げを図っていくつもりです。また、大手電機メーカーがチェーン展開している電気工事業者の相当数は、組合に加入しておりません。まだまだ組合員の掘り起こしの余地はあると思いますので、組合員500社は決して実現できない目標ではないと思っています。

 組合員を増やすことはもちろん大事ですが、組合員が退会しないようにすることも重要です。後継者不在で、やむを得ず廃業の道を選ぼうとしている方に対して、当組合では会計事務所と共同でM&Aの相談会を開催しています。こうした取り組みはあまり認知されていませんので、もう少しPRに力を入れていかなければならないと感じています。

 廃業を検討する事業者がいらっしゃるのですが、官公庁の入札だけでなく、随契でも毎日のように仕事の依頼が絶えないと聞いています。それでも、後継者不在で廃業を検討せざるを得ないというのが現状です。こういった例は、これからますます増えてくるはずです。「仕事は多いが人がいない」ところもあれば「人はいるけど仕事がない」ところもあります。そんな両者が1つになれば、お互いの弱点を補完できるでしょう。そういった事業者同士のマッチングにも力を入れていきたいですね。

地域の学生との交流も

 ――コロナによって、定例会など会議への影響はありますか。

 堀内 コロナによって運営方法も変えざるを得なくなり、原則として各種の会合はZoomを使ったオンライン形式で行うようになりました。ただ、第1回の総会だけは理事長、三役を決める必要がありましたので、リアルで行いました。

 理事会と支部長会は隔月で、三役会は毎月行っています。三役会は理事会と支部長会の前段階に行う協議の色合いが強いですね。緊急事態宣言が明けた後もすべてオンラインで行うのか、出席できる人には来てもらい、来られない人がオンラインというハイブリッド形式にするかは、まだ決めていません。以前であれば、会議後に「飲みに行こう」といった感じで会員同士のコミュニケーションを図れていたのですが、今後はそういうわけにもいかないでしょう。今後、どういう手段を用いて組合員間のコミュニケーションを深めていくかも考えていかなければなりません。

 ――青年部では、香椎工業高校との交流会など面白い取り組みもされていますね。

 堀内 昨年11月、電気工事業界を目指す若者へのPR活動として、青年部のメンバーが香椎工業高校に赴き、電気科の生徒さん81人に「大型バケット車乗車体験と防犯灯点検作業」「電柱建設作業見学とバケット車乗車体験」「屋内配線作業体験」などを体験してもらう交流事業を行いました。青年部では、このほかにも福岡市とWeLove天神協議会との共催で、小学生向けの夏休みワーク体験会も開催しています。

 この業界も人手不足に悩まされています。電気というのは幅広い分野に携わることになりますので、本当の意味で一人前になるには、3年から5年の実務経験が必要だと言われています。とはいえ、1年目は1年目なりの仕事も当然あります。青年部の活動によって、「将来は電気屋さんになりたい」という夢をもった若者が、1人でも多くこの業界に飛び込んできてくれることを切に願っております。

(了)

【文・構成:新貝 竜也】


<プロフィール>
堀内 重夫
(ほりうち・しげお)
1958年12月生まれ、福岡県大野城市出身。筑紫工業高等学校(現・筑紫台高等学校)を卒業後、地元の電気工事会社に就職。86年に堀内電気工事店を創業。97年には(株)堀内電気を設立。2017年5月に福岡電気工事業協同組合副理事長、21年5月に同理事長に就任。趣味は釣りとゴルフ。


<INFORMATION>
福岡電気工事業協同組合

代表理事:堀内 重夫
所  在  地:福岡市中央区渡辺通3-2-10
T E L:092-761-6203
F A X:092-781-5207
E-mail:fdenk-ai@alto.ocn.ne.jp
設  立:1947年4月
出  資  金:392万円
地  区:福岡市、春日市、大野城市、筑紫野市、太宰府市、宗像市、
     古賀市、福津市、筑紫郡、糸島市、糟屋郡、遠賀郡の一部、
     長崎県壱岐市、対馬市

(前)

月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。

ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)

関連記事