2022年05月19日( 木 )
by データ・マックス

森ビルが虎ノ門の再開発で、最高ランクのLEEDとWELL予備認証を取得

虎ノ門・麻布台プロジェクト(ⓒDBOX for Mori Building Co.)
虎ノ門・麻布台プロジェクト(ⓒDBOX for Mori Building Co.)

虎ノ門・麻布台プロジェクト/虎ノ門ヒルズエリアプロジェクト

森ビルの都市づくり

虎ノ門ヒルズエリアプロジェクト
虎ノ門ヒルズエリアプロジェクト

 森ビル(株)が開発を進める「虎ノ門・麻布台プロジェクト」(以下、虎麻プロジェクト)および「虎ノ門ヒルズエリアプロジェクト」(以下、虎ノ門ヒルズプロジェクト)が、国際的な環境性能評価システムの「LEED ND」(エリア開発版)で最高ランクのプラチナ予備認証を取得した。さらに、「虎麻プロジェクトA街区」と「(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー(A-1街区)」は、人々の健康や快適さを重視した空間を評価する「WELL」の予備認証を取得した。

 虎麻プロジェクト(2023年竣工予定)は、「Green」と「Wellness」をコンセプトに据え、オフィス、住宅、ホテル、商業施設などがシームレスにつながる街で、区域面積は約8.1ha、延床面積は約86万1,500m2。虎ノ門ヒルズプロジェクト(14~23年順次竣工予定)はグローバルビジネスセンターを目指す複合都市で、区域面積は約7.5ha、延床面積は約80万m2。両プロジェクトは竣工後に、これらの本認証を取得する見込みだ(WELLにおいても最高ランクのプラチナ認証を取得予定)。

環境性能評価システムLEED

 LEEDは、水の効率的な利用、建物のエネルギー性能、室内環境、立地や交通手段、廃棄物リサイクルやリユース建材の利用を通じて、ビルや都市の環境性能を評価する米国グリーンビルディング協会(USGBC)が開発した評価システム。世界で最も広く使われており、その認証案件は8万件近くに上る。

森ビル(株)都市開発本部計画企画部環境推進部の村田麻利子氏
森ビル(株)
都市開発本部計画企画部環境推進部
村田 麻利子 氏

 森ビル都市開発本部 計画企画部 環境推進部の村田麻利子氏は、「虎麻プロジェクトでは、広大な中央広場や生態系にも配慮した豊かな緑地を創出するほか、街全体でRE100(※)に対応する再生可能エネルギー100%の電力を供給するなど、環境に配慮した持続可能な都市づくりを推進したことが高く評価された。また、森ビルがかねてよりまちづくりで大切にしている、職住近接で多様な都市機能をもつコンパクトシティである点や、広場を中心に建物を配置し、多様な人と人の出会いを誘発するようなウォーカブルな街であることも、LEED認証が目指す街と重なり、評価につながった」と話す。

※ 事業活動で使用するすべての電力を再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ。

 虎ノ門ヒルズプロジェクトでは、(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー(23年竣工予定)の日比谷線虎ノ門ヒルズ新駅との一体的な開発を進められており、同ビジネスタワー(20年竣工)には、羽田空港リムジンバスや都心と臨海部を結ぶBRT(バス高速輸送システム)も発着可能なバスターミナルを設置して交通拠点としての機能を高めた点や、LED照明や高効率空調システム・LOBASの導入(同森タワー・14年竣工)、コージェネレーションシステムの導入(同ビジネスタワー)により、建物のエネルギー効率を高めた点も評価された。さらに、両プロジェクトにおいて、地元の地権者とともに都市づくりを推進する姿勢も高スコア獲得に貢献した。

人を中心にしたまちづくり

 WELLは、働く人や暮らす人が快適で心身ともに健康でいられる室内環境の整備や、生産性向上、安心・安全という観点から、建物を評価する世界初の認証システム。IWBI(International Well Building Institute)が開発し、USGBCが運営している。

 虎麻プロジェクトA街区や(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー(A-1街区)では、開発のコンセプト段階より「人を中心にしたまちづくり」という考え方を大切にした、あらゆる世代の人々が心身ともに生き生きと暮らし続けられる計画が、WELLの認証でも評価された。

 たとえば、広場を中心にした広い緑地、カフェでの健康的な食事の提供、空調機への高性能フィルタの設置による高い室内空気質環境、飲料水栓への浄水器の導入、広場やデッキなどの歩行空間の整備による運動促進への取り組みなどが挙げられる。さらに、虎麻プロジェクトでは、慶応義塾と、慶應義塾大学病院予防医療センターの拡張移転およびヒルズ未来予防医療・ウェルネス共同研究講座の開講に関する基本協定を締結した。予防医療センターで新たに展開される健診プログラムに加えて、スパやフィットネスクラブ、レストランやフードマーケットといったさまざまな施設のほか、広場や菜園などもメンバーシッププログラムやサービスで結び、この街で住み、働くことのすべてが「ウェルネス」につながる仕組みの構築を目指す。

虎ノ門・麻布台プロジェクトの中央広場(イメージ)(ⓒDBOX for Mori Building Co.)
虎ノ門・麻布台プロジェクトの中央広場(イメージ)(ⓒDBOX for Mori Building Co.)

ESG投資の機運高まる

(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー駅広場
(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー駅広場

 「外資系の企業をはじめとして、LEED認証を取得していることがオフィスへの入居の決め手の1つとなるような状況がある。LEED認証やWELL認証の有無を条件とするほか、自社が入居や所有をしているビルの認証取得状況をホームページで公表する企業もある。こうした動きは、国内企業においても浸透し始めた。環境性能や従業員の満足度の高いオフィスの需要が、国内外で年々高まってきていると感じる。背景としては『環境』が社会課題として広く認知されている状況に加えて、世界的に人材獲得競争も激しくなっているためだと考えられる。採用活動や離職防止に向けて、従業員のさまざまな働き方への対応、健康やウェルネスを重視しオフィス環境の整備に取り組む企業も増えている」(村田氏)。

 虎麻プロジェクトでは、事業の一部の資金調達において、ESG債「グリーンボンド」を発行した。環境改善事業の資金調達を目的に発行する債券で、資金使途が「グリーンプロジェクト」の設備投資に限定されるものだ。20年10月の発行においては、国内ESG債史上最多となる111社の企業の投資表明を獲得した。「本社債には、多数の投資家から関心が寄せられた。投資家にとってESGが重要な観点になっている」(村田氏)。

 森ビルは、まちづくりにおいて環境配慮に主体的に取り組む姿勢を示し、共感する人や企業を世界中から引き付けることで、東京の魅力や都市としての価値を高めることを目指している。

【石井 ゆかり】

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