22年度、ついに延伸開業 地下鉄・七隈線が博多駅へ(2)
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2021年08月02日 06:00

22年度、ついに延伸開業 地下鉄・七隈線が博多駅へ(2)

市西南部と都心部を結ぶ、ミニ地下鉄・七隈線

櫛田神社前駅~博多駅区間のトンネル構築状況(福岡市交通局提供)
櫛田神社前駅~博多駅区間のトンネル構築状況
(福岡市交通局提供)

 2005年2月に開業した福岡市地下鉄七隈線は、福岡市の西南部と都心部とを結ぶ鉄道路線で、西区の橋本駅から早良区および城南区を通り、中央区の天神南駅までの約12.0km・16駅を結んでいる。使用されている車両は急曲線・急勾配に対応した鉄輪式リニアモーターで、福岡市地下鉄の空港線および箱崎線よりも車両およびトンネル径が小さい「ミニ地下鉄」となっている。

 そもそも七隈線が通る福岡市の西南部地域は、1970年ごろ以降、住宅地を中心として急速に開発が進んできた比較的新しい市街地である。良好な住宅地としての特性をもつほか、城南区役所や城南体育館などの公共施設のほか、九州大学・六本松キャンパス(09年に移転・閉校)や福岡大学、中村学園大学、福岡歯科大学などの教育機関が立地し、都市化が進展している地域だった。だが、このエリアには鉄軌道がないことで、通勤・通学などの移動はバスや自動車に頼らざるを得ない状況で、各所で道路が混雑するほか、とくに都心部方向においては交通渋滞が慢性化。こうした福岡市の西南部地域の交通渋滞を緩和し、効率的で利便性の高い公共交通体系の確立を図るとともに、均衡あるまちづくりを推進するために計画されたのが、地下鉄七隈線だった。

 71年3月に都市交通審議会において「高速鉄道路線の新設」が答申され、86年3月の第2回北部九州圏パーソントリップ調査で「西南部公共交通施設」の提案が行われた。その後、88年4月に策定された福岡市総合計画のなかで「都心部と西南部を結ぶ新しい交通機関の早期導入を図る」旨が記載され、89年10月の九州地方交通審議会で「西南部中央部と都心部を結ぶ都心放射状の鉄軌道系輸送機関の導入について、地元自治体を含め検討を図る」との答申がなされ、92年4月の第14回福岡都市圏交通対策協議会において、地下鉄3号線(七隈線)計画の福岡市案が基本的に了承されたことで、実現に向けて動き出した。

 その後、導入計画調査の実施や関係機関などとの協議・調整、国の予算案決定などを経て、95年6月に運輸省(現・国土交通省)から鉄道事業免許が下り、事業が本格的にスタート。97年1月に地下鉄3号線の起工式が行われて工事がスタートし、05年2月に開業を迎えた。

 こうして開業した七隈線は、開業年の05年には4.4万人だった1日当たりの乗車人員は、06年には5.2万人、08年には6.0万人、10年には6.3万人と年々増加。19年には8.1万人まで増えるなど、“地域の足”として定着する一方で、駅周辺などの沿線での開発も促していった。

 だが、開業当初から都心部区間が未整備で残されており、鉄道ネットワークとしては不十分な状態が続いていた。一応、天神南駅と地下鉄空港線の天神駅では乗り換えが可能となっているが、天神地下街を通って約550mも離れており、明らかに不便な状況が続いていた。当初からわかりきっていたことだが、この「不便な状況」を踏まえ、07年度から10年度にかけて延伸区間の検討が行われた。11年度に天神南~博多の延伸についての事業化に向けた検討を開始し、12年6月に鉄道事業の許可を取得したことで、七隈線延伸事業がスタート。13年度には土木本体工事を契約し、20年度の延伸開業に向けて着々と進んでいたかに見えた。

大規模な陥没事故で開業が2年遅れ

 16年11月8日、福岡市博多区の博多駅前2丁目交差点付近で、片側2車線の道路が大きく陥没する事故が発生した。七隈線延伸工事でのトンネル工事において、現場作業員が掘削作業をしていた午前4時25分ごろ、トンネル上部が一部崩壊。その後、異常出水が発生して水や土砂がトンネル内に流れ込み、午前5時15分ごろには道路が陥没。陥没は最大で幅約27m、長さ約30m、深さ約15mにまで拡大した。地面に大きな穴がぽっかりと空き、周辺ビルの基礎部分の鉄骨までむき出しになったショッキングな映像が各メディアで取り上げられたのは、まだ記憶に新しい。

 この事故の影響で、博多駅周辺では停電や断水が相次ぎ、ガスの供給も止まり、ライフラインは一時ストップ。前代未聞の大規模な陥没事故となったが、人通りの少ない時間帯だったため、奇跡的にケガ人がいなかったのは不幸中の幸いだった。この事故を受けて、福岡市は早急に埋戻し作業を指示し、同日午後2時30分ごろには道路仮復旧作業を開始。事故から約1週間後の11月15日に道路仮復旧は完了し、交通規制は解除された。ライフライン等の被害もすべて復旧・解除され、博多駅前は日常を取り戻したかに見え、早急な対応と仮復旧までの早さに、国内外から称賛の声が挙がった。

 その後、陥没事故の原因究明や、工事再開に向けた調査工事の実施、坑内に流れ込んだ土砂の撤去などを経て19年7月、事故の発生から約2年8カ月ぶりに陥没箇所のトンネル掘削工事を再開した。この陥没事故の影響で、当初20年度の予定だった開業時期は22年度に見直されたほか、当初450億円を見込んでいた事業費は、陥没事故の影響に加えて、鉄道事業許可取得後の物価上昇などの社会情勢の変化などによる影響で、約587億円となる見通しとなっている。

博多駅前陥没事故(2016年11月8日撮影)
博多駅前陥没事故(2016年11月8日撮影)

(つづく)

【坂田 憲治/立野 夏海】

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