【第3報】住友林業～建築主へ清算金を提示（前）

　住友林業（株）からA氏へ、契約解除に係る清算金に関する書面は3度提示された。1回目は、「新たな構築物」問題発生（2月上旬）直後にA氏が契約解除を示唆した段階における2月13日付の書面。2回目は、契約解除（4月13日）後に住友林業から提示された4月26日付の書面。3回目は、双方協議（5月27日）の際にA氏側から示された主張を受け、住友林業が社内で検討した結果の6月25日付書面（下記の資料1参照）。

　3回目の書面については、住友林業から事前に6月10日付の「回答書」がメールで寄せられ、「現状、双方の拠って立つ立場に多少の埀離が存するとの認識でありますが、本件につきましては、お話し合いにより早期解決を図りたいという点において、双方の考え方は一致しているものと思料致します」とあり、再度協議の場を設定し、住友林業の最終解決案を提示することおよび住友林業側の代理人弁護士も同席するとの内容であった。

　6月25日の協議の場で、冒頭、住友林業の支店長より以下の最終解決案の説明があった。

　3回目の書面については、住友林業から事前に6月10日付の「回答書」がメールで寄せられ、「現状、双方の拠って立つ立場に多少の埀離が存するとの認識でありますが、本件につきましては、お話し合いにより早期解決を図りたいという点において、双方の考え方は一致しているものと思料致します」とあり、再度協議の場を設定し、住友林業の最終解決案を提示することおよび住友林業側の代理人弁護士も同席するとの内容であった。

　6月25日の協議の場で、冒頭、住友林業の支店長より以下の最終解決案の説明があった。

・解体工事は実費精算ではなく、A氏側主張の出来高清算を受け入れる。
・3月1日～5月8日の間の仮設費は契約解除後の費用のため、A氏側主張を受け入れる。
・計画図など作成費用は、当初の請負契約金額5億円は有効であるが、見直し後の2020年12月17日付見積書金額の3憶7,839万円の1.5％（約567万円）とする。
・設計料は、実費として462万3,602円かかっているが、早期解決の観点からA氏側の主張を受け入れる    。
・上記の合計金額から既入金済額を引いた清算金額は274万5,817円とする（資料1参照）。

　住友林業の説明を受けたA氏は、「私は、話し合いにより早期に解決を図りたいなどと発言したことはありません」と述べ、「住友林業から受けた詐欺まがいの契約」「新たな構築物判明により理不尽な追加工事費の支払いを迫られたこと」「住友林業が一方的に工事を中止させた債務不履行により契約解除に至ったこと」などにより、これまでに受けた精神的苦痛の全責任は住友林業にあるとして、「解約清算金の支払いはしないこと」「支払い済の1,745万円の返還」を要求した。

　5月27日付のA氏側主張の金額は都甲建築士兄弟（建築主A氏の親戚）が算定したものであり、都甲建築士兄弟は、「契約解除しても、法的に住友林業が出来高清算請求をできること」をA氏に説明し、いったんはA氏も理解したのであるが、時間の経過とともに、A氏は、住友林業から受けた精神的苦痛のダメージを払拭できなかったようである。

　一方で、住友林業が提示した解約清算金の推移は、当初の約1,100万円から約274万円まで減額されており、計画図等作成費用を除き、都甲建築士兄弟の算定根拠を受け入れるかたちになっているものの、A氏は、請負金額の存在（5億円→約3憶7,800万円）のみは譲らない姿勢のようである。

　売上高1兆円の大企業である住友林業にとって、この程度の金額の差は微々たるものであり早く解決しようと考えている可能性はあるが、悪どい手法で騙されたことにA氏の怒りは納まらず、協議の冒頭で交渉は決裂、住友林業の代理人弁護士は「法的手続き（訴訟）を検討せざるを得ないこと」および「6月25日付書面は撤回すること」と述べて協議は終了した。

（つづく）

【桑野　健介】

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