2024年04月29日( 月 )

【第3報】住友林業~建築主へ清算金を提示(中)

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 Net IB Newsでは、東京都内在住のA氏の住宅建設に関する問題について
住友林業、住宅の見積書の明細を開示せず不誠実な契約!(前)~(後)」
(続報)住友林業~自作自演で墓穴を掘る~契約解除へ!(1)~(4)」
 にてお伝えした。A氏がなぜ解約清算金の支払いを拒否し、入金済の1,745万円の返還を求めたのか。これほどまでにA氏の心を傷つけてしまった原因はどこにあるのか。今回はこれまでの住友林業の対応について振り返る。

 まず、住友林業には、契約当事者全員に配布される「お客様との契約締結に関する基本方針」がある。その内容は、下記の通り。

  • 経営理念および行動指針にもとづき、お客様満足に徹し、高品質の商品・サービスをお客様に提供します。
  • 私たちは常にお客様の視点に立ち、正確でわかりやすい表現や表示を心がけるとともに、必要な説明や提案を丁寧におこない、お客様に契約内容や請負契約約款を十分にご納得いただいたうえで請負契約を締結いたします。

(以下、省略)

   このように、住友林業の基本方針には、どの企業に対しても株主および世間から求められる当然の内容が記されている。住友林業のA氏に対する今回の対応は、基本方針に沿ったものであったのか。それとも、支店長以下の担当者にとって、基本方針は形骸化した単なるお題目であったのか。基本方針に反する住友林業の態度、発言を挙げていく。

(1)A氏が、住友林業から工事の内訳を示されないまま約2億5,500万円の「本体工事」を契約させられていた問題に関する協議の段階で、当初契約5憶円のうち「本体工事価格」の内訳書の提出に関する都甲建築士兄弟(A氏の親戚)の質問に対して、契約書には「内訳書の明細は添付しない」という記載がなかったにもかかわらず、住友林業の設計グループ次長は「会社のシステム上、内訳書は提出できない。完成後も提出しない」と回答した。

(2)消費税率が10%に引き上げられる半年前に、「消費税率が上がる前に契約すれば現行の消費税8%がキープできますよ」と営業担当の故Xから契約を急かされ、A氏は税率変更前に契約した。契約金額5憶円に対する税率2%の差額は1,000万円である。

 住友林業は契約金額5億円について「5憶円はあくまで概算であり、仮の見積もりにすぎない」とA氏に説明しており、十分な利益を確保できる概算の金額のため、設計の進捗に従い減額した見積もりを提示すればA氏は得に感じて1,000万円程度の調整は簡単にできるという意味が隠されている。

 後日、営業グループ統括店長は、都甲建築士兄弟に対して「5憶円には根拠はありません」「(本体工事の内訳書を提出しないことなどについて)住友林業のやっていることですから(余計な口出しはやめてもらいたい)」と、無責任な発言をしていた。

(3)当初契約の解体工事は地中埋設物をすべて撤去し更地になる予定であったが、いつの間にか、地下室部分は残し地下室以外の部分は地盤改良することという契約をさせられた。住友林業からA氏に対しては「減額になります」との説明のみであり、新築建物の基礎部分に大きな構造上のリスクが残ることを度外視した、建設会社としてのコンプライアンスに欠ける契約であったといえる。

(4)「新たな構築物」が発見されたとの連絡を受け、A氏および家族は現場確認に立ち会った。住友林業は、解体工事の現場で古屋建物の「地下室以外の基礎部分」の解体途中の現状を見せただけで、「どこが新しく(追加対象部分)、どこが古い(既契約部分)のか」説明は一切なかった。契約対象範囲のため、説明できなかったものと考えられる。

資料(B-2)
地下の構築物・写真右下の範囲

 解体工事内訳書に、「地下室以外の部分の基礎についての積算は想定によります」や「想定と異なる場合は変更の対象になります」などと明記されていれば、混乱は避けられ契約解除に至らなかった可能性がある。

 しかし、実際には、現場確認の直後に、住友林業の営業グループ統括店長は、「隠れた瑕疵の存在が想定されるため、仲介の不動産業者を通じて土地の売主と費用負担について交渉を行った方がいい」とA氏に助言したり、追加費用として概算1,000万円超を通告したりしてきたのである。    

(つづく)

【桑野 健介】

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