Net IB Newsでは、東京都内在住のA氏の住宅建設に関する問題について
「住友林業、住宅の見積書の明細を開示せず不誠実な契約!(前)~(後)」
「(続報)住友林業~自作自演で墓穴を掘る~契約解除へ!(1)~(4)」
にてお伝えした。今回はその続報として、住宅メーカーである住友林業が建築の素人同然であることが露呈した経緯を追う。
住友林業の支店長は、都甲建築士兄弟(Aさんの親戚)から再三にわたり図面や数量積算の証拠を示されても、現場担当者が地下基礎図面を基に現場を管理している実態を説明されても、頑として聞き入れず、自らの主張を曲げようとしない。
住宅産業は客商売であり、過ちは早期に認め、謝罪することが企業のとるべき態度であるはずだが、住友林業の支店長は「図面にないものは積算のしようがないですから」と事実を受け入れようとせず、自らの主張を繰り返すだけであった。
この支店長の言動から、住友林業には長年の成功実績から「素人には説明の必要はない」「素人は住友林業の提示した書類に黙ってハンコを押せばよい」「素人には嘘をついても構わない」といった企業風土が根づいているように思われる。ほとんどの消費者はAさんと同様に建築の素人であり、泣き寝入りしたケースが数多くあったと思われる。
Aさんと住友林業との協議に都甲建築士兄弟が加わったことにより、住友林業は平面計画の稚拙さ、構造設計力のなさ、内訳明細書作成の無知など、図らずも同社が建築の素人であることを露呈してしまった。
具体的には、都甲建築士兄弟が、契約解除の原因となった「新たな構築物」問題について支店長に質したところ、住友林業に配布した図面のなかには地下の基礎図面が含まれており、内訳書にも数量・金額が積算されているにもかかわらず、支店長は数枚の図面を示しながら、「図面にないものは積算のしようがないですから」と話した。しかし、支店長が示した数枚の図面のうちの1枚は「地下基礎図面」(1階伏図)であった。
支店長では埒(らち)が明かないと感じたAさんと都甲建築士兄弟は、同席していた現場監督のSに実情を聞いたところ、Sは以下のように説明した。
・Aさんから配布された図面のなかに「地下基礎図面」があることを認識していた。
・地下基礎図面を含む図面一式を下請の解体業者に渡した。
・内訳書に記載の数量積算は解体業者が行った(住友林業はノーチェック)。
・基礎部分の解体作業で1階の床の一部を解体した(剥がした)ところ、そこから見える基礎部分のコンクリートのボリュームが予想以上に大きく、数量積算の金額と合わないことで慌てた解体業者からS氏(住友林業)に報告があった。
・S氏は解体業者からの報告を上司に伝え、工事を中止すべきかどうかの判断を仰いだ。
※これは、住友林業からAさんに「新たな構築物」が発見されたとの連絡があった2月2日よりも数日前の出来事。
住友林業の現場監督であるSは、上記のように上司の前で下請解体業者の積算ミスであったことを証言し、「住友林業が主張する『新たな構築物』は見積もりの基となった図面に記載されていたこと」「解体業者が見積もりで見落としていたこと」「解体業者が地下の構築物を発見したことを現場担当者が上司に報告していたこと」「報告を受けた上司は見積もりでの見落としを隠し、『新たな構築物』としてAさんに連絡したこと」などが明らかになった。
現場監督のSが証言した積算ミスを住友林業が認め、謝罪した後、契約変更を申し出れば、Aさんも考え直す余地があるかもしれない。しかし、住友林業は、解約清算金に関してはAさんに譲歩したものの、地下の構築物の存在を見積もりの際に見落としていたことを一切認めようとしない。現場監督が認めても会社として認めないという不可解な対応である。
3回にわたる連載で、超大手住宅メーカーである住友林業の実態を報じてきた。戸建住宅には、ローコスト住宅から住友林業のような高級ブランド住宅まであり、施工単価にも大きな幅がある。「安かろう悪かろう」ではなく、ローコスト住宅メーカーもさまざまな努力をして顧客を獲得しており、誠実な住宅メーカーは業績を伸ばしていると思われる。
その一方で、高級ブランドであることに驕り、客を客とも思わない態度を取り続ける企業は、たとえ超大手住宅メーカーといえども、いずれその実態を消費者から見抜かれるであろう。
Aさんの住宅に関する問題は今後、住友林業からの提訴も想定される。Aさんが契約した住宅は5億円という高額な住宅であったが、住友林業の対応は記事の通りである。Aさんの親戚の都甲建築士兄弟が協議に参加したことにより、住友林業が清算金について譲歩したものの、住友林業の支店長の態度は改まらなかった。
Aさんと同様に不利な契約を強いられた消費者も多いと考えられ、そのほとんどは泣き寝入りせざるを得ない状況ではないだろうか。Net IB NewsでAさんの事例を紹介したことにより、業者に有利な一方的な契約に苦しめられている消費者の一助になればと思う。
(了)
【桑野 健介】
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