2024年04月24日( 水 )

太陽光パネル「住宅義務化」は見送りも、30年にZEH・ZEB基準引き上げ図る

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(第4回鳥取県説明資料より)
(第4回鳥取県説明資料より)

 検討会では、業界団体へのヒアリングも以下の通り行われた。

 全国建設労働組合総連合は、ZEHの太陽光パネル設置について、都市部の狭小住宅では屋根面積も狭いことから収益性で課題があるほか、隣地の建物との距離がないため、パネルからの落雪によるトラブルを懸念するという現場からの意見もあり、極めて慎重な検討が必要だとしている。既存建物は、建物の構造や屋上の防水状態などによっては建物自体の強化や補修工事が必要となり、設置コストに比べて全体工事費が相当多額になるケースも十分想定されるため、このような事例への支援も検討を要望した。

 (一社)全国住宅産業協会は、都心の戸建住宅では日当たりの悪さや高さ制限により太陽光パネルの設置は屋根上に制約されること、集合住宅では、屋上設置のみでは十分な発電が不可能であり、緑化規制や駐車場の設置義務により敷地や屋上の利用できる面積が縮小するため、全戸で同じレベルで発電するのは難しいこと、賃貸住宅では家賃の引き上げにつながる可能性から、義務化は慎重な検討が必要だとしてきた。

 (一社)JBN・全国工務店協会は、九州では日照条件が良いため太陽光パネル設置などによるZEHに取り組みやすい反面、鹿児島県では桜島の火山灰がネックとなること、北海道や東北では雪がネックとなることから、各都道府県の日照条件や気候風土に対応した「多様なZEH」の定義が必要だとしている。また、設置義務化の際には、雨漏り・台風などの災害に対応するためのメンテナンス義務化と責任の所在明確化も必要だとしている。

 (一社)日本建築士事務所協会は、太陽光発電装置の景観配慮や防災性能の考慮などを留意する必要があるとしている。

(出典:国交省)
(出典:国交省)

【石井 ゆかり】

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