2024年04月26日( 金 )

太陽光パネル「住宅義務化」は見送りも、30年にZEH・ZEB基準引き上げ図る

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「省エネ対策あり方検討会」新築住宅はいったん見送りへ

太陽光パネルを屋根に設置した戸建住宅
太陽光パネルを屋根に設置した戸建住宅

 国土交通省・経済産業省・環境省ではこれまで、住宅や建築物への太陽光パネルの設置や省エネ性能確保などに関する議論を行ってきた。8月23日に開催された「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」では、次のような方針が発表された。

 政府は2030年に、新築される住宅でのZEH(※1)水準の省エネ性能(再エネを除き20%削減)と、新築される建築物でのZEB(※2)水準の省エネ性能(再エネを除き20%~40%削減)の確保と、新築戸建住宅6割における太陽光発電導入を目指す。50年には、ストック(中古物件)平均でZEH・ZEB水準の省エネ性能の確保と、導入が合理的な住宅や建築物で太陽光発電などの再エネ導入が一般的となることを目指す。大きな論点となった太陽光パネルの設置は、公共の新築住宅・建築物では原則設置となったが、新築住宅では義務化は見送りとなった。

※1:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス。快適な室内環境を保ちながら、外皮(窓ガラスや外壁など)の高断熱化や高効率な省エネ設備の導入により、一次エネルギー消費量20%以上削減を実現し、照明、冷暖房、給湯、換気で消費するエネルギー量から、太陽光発電などの再エネで発電されるエネルギー量を差し引くとゼロとすることを目指した住宅。

※2:ネット・ゼロ・エネルギー・ビル。快適な室内環境を保ちながら、断熱、日射遮蔽、自然換気、昼光利用などのパッシブ手法や外皮の高性能化、高効率な省エネ設備の導入により一次エネルギー消費量50%以上削減を実施し、照明、空調、給湯、換気、昇降機で消費するエネルギー量から、太陽光発電などの再エネで発電されるエネルギー量を差し引くとゼロとすることを目指した建築物。

 太陽光発電などの導入拡大に向けた取り組みが本検討会で論点となった背景として、国土交通省住宅局参事官(建築企画担当)付・池田課長補佐は次のように話す。「2050年カーボンニュートラルの実現に向け再生可能エネルギー等の利用拡大の取り組みが一層求められていることや、『再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース』(主宰:河野太郎内閣府特命担当大臣)において、太陽光発電も含めた原則ZEHの義務化に関して提言があったことが挙げられる」。

 資源エネルギー庁は、2030年までに太陽光発電260GW導入するにあたり、住宅への導入量イメージを62GWとしている(※3)。将来における設置義務化も選択肢の1つとして手段を検討し、導入促進のための取り組みを進めるという。

※3:「2050年カーボンニュートラルの実現に向けた検討」(経済産業省資源エネルギー庁、2021年5月13日)より。

【石井 ゆかり】

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