2024年04月15日( 月 )

建設業界のダンピング排除へ、人材不足はCCUSで解消できるか

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賃金2%上昇へ各団体の動き

 3月に開催された意見交換会では、4団体が環境改善に向けて以下の通りに発表した。

 日本建設業連合会は、約2%以上の賃金上昇を目指す趣旨に適う下請契約を締結した。日建連会員企業は、「労務費見積り尊重宣言(18年12月21日決定)」の今年度の運用について、一次下請への見積り依頼に際して、概ね2%以上の賃金上昇の趣旨に適う適切な労務費を内訳明示した見積書の提出要請を徹底し、当該見積りを確認したうえでこれを尊重するものとした。「適正な受注活動の実施については、これまでも会長名で要請を行ってきたところであるが、改めて、①適正価格での受注の徹底、②適正工期の確保、③適正な契約条件の確保を徹底する。なお、適正な受注活動は、あくまで自社の責任において行われるものであって、不当な取引制限につながるような行為は絶対にあってはならない」とした。

 全国中小建設業協会は4月に働き方改革宣言を出し、「働き方改革の具体的な取り組みとして、高い水準の公共投資を背景に当分の間、2%以上の労務費の引き上げの取り組みを宣言する。今後、会員団体傘下の会員に対して、実効ある取り組みを推奨し、労費の引き上げを推進する」とした。

 全国建設業協(以下、全建)は、「令和3年度事業計画」として働き方改革の推進による職場環境の整備、技能者の賃上げへの取り組みを決定した。全建では、これまで「単価引き上げ分アップ宣言」に基づき、継続的な技能者の賃上げへの取り組みを進めており、21年2月の労務単価改定でも全国平均で1.2%増加し、9年連続で増加となった。

 しかし、この数値は、調査結果がマイナスとなった地域・職種についてはコロナ禍の特別措置として据え置いた結果であり、今年度この単価改定分をアップするだけでは、来年度にはマイナス改定に転じる恐れがある。このため、3月の国交省と建設業4団体との意見交換会で申し合わせた、同宣言を超える概ね2%以上の賃上げを目指し、下請契約での配慮、下請会社への指導等の取り組みを進める。併せて、その阻害要因となりかねないダンピングの防止に向け、調査基準価格の設定の適正化等を要望・提言した。

 建設産業専門団体連合会は、賃金アップのための障壁は多く、元請・下請関係では、ダンピングによる受発注などへの対応や下請企業の見積尊重の実施など、経営者として意識を強く持って取り組んで行かなければならないことを強調した。これらの課題のうち、賃金アップ分の原資を確実に獲得することを第一の目標と定め、労務費には賃金アップ分を反映させた額を計上し、法定福利費など必要な費用の内訳を明示した見積書を作成すること、当該見積書を尊重した請負契約を締結するよう理解を求めていくことを、当会加盟団体の当面の共通取り組みとして実施することを発表した。

中小企業に求められる柔軟性

 これまで建設業界は3K(きつい、汚い、危険)のイメージが強く先行しており、人口減少とともに人材不足が深刻化してきた。国交省では、「新3K」(給料、休日、希望)のスローガンの下、イメージ向上と問題解決に向けての施策を講じている。

 CCUSやIT技術導入による、建設業界の生産向上を狙う「i-Constructionの推進」もその一環だ。また、業界で横行している施工管理技術者の不正取得においては、20年8月に「技術検定不正受検防止対策検討会」を設置し、監督処分を厳格化する意向を示すと同時に、施工管理技士補が創設され、第一次検定に合格した者は技士補の資格が取得可能になった。これにより、監理技術者となった技術者が専任で配置されなければならなかった現場でも、主任技術者の資格を有する者と技士補の配置を要件に、監理技術者が複数の現場を兼任することが可能になった。

 国交省は、同業界を取り巻く問題の多くが、古くから続く「業界の常識」によって引き起こされている部分に起因していると指摘。各団体もそれに応じるかたちとなってきている。国交省によれば、CCUSの登録者数は21年5月末時点で、技能者が57万920人(登録割合18.0%)、事業者が11万1,925者(同23.7%)に留まり、23年度の完全移行を鑑みれば、早急な対応が求められる状況となっている。

【麓 由哉】

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