2024年04月20日( 土 )

【一問一答】吉村洋文大阪府知事に聞く「リニア中央新幹線問題」「憲法改正」(後)

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 ――(記者会見で)岸田総理はほかの党も説得して3分の2をクリアしたいと言っているが、改憲発議に加わる考えはあるのか。とくに緊急事態条項についてどう考えているのか。

吉村洋文・大阪府知事
吉村洋文・大阪府知事

 吉村知事(維新副代表) 岸田総理が本気で憲法改正をやりたいかどうかそこに懸かっていると思う。僕は自民党は憲法改正を主張しながらも実際は本気でやる気がないと思っている。ガス抜きでやっている程度だとしか僕から見たら思えない。

 我々、たとえば都構想を実現させるためでも、橋下さんも松井さんもそうだが、自分の政治生命懸けてでも絶対にやるっていう気迫でやって。結局はやっぱりそこまでたどり着いて、住民投票までたどり着いて、そこまではいろいろ批判もあるようなことも中には当然あるが、そこまで何とかたどり着いて、最後は主権者というか、最終決定権者である大阪市民の皆さんに投票いただくとこまでは来た。僅差でどちらも負けた。だからそれを受け入れている。

 じゃあ自民党が本当に国民に対して3分の2の発議をして国民投票までやる覚悟があるのかといえば、僕はないと思っている。一部の熱狂的な保守層のガス抜きで言っている程度ではないかと僕は思っているので。というのも、これまで3分の2あったときも本気でやらなかったから。僕は改憲論者だし、国民投票をぜひやってもらいたいと思っている。本気でやる気であるのであれば、維新はもちろん協力もする。だけども僕は自民党は憲法改正を本気でやるつもりないと思う。憲法審査会を見てても、あんなの井戸端会議だ。全員の同意がないと進まないみたいな憲法審査会で。

 僕も国会議員10カ月だけやって、憲法審査会のメンバーとして出席させてもらったが、自分それぞれなんか適当に言いたいことを言ってるだけで、進め方としては最後ここにまとめて、じゃあ結果を出すという会議になってない。自分が言って、自分の主張言って、はい、気持ちいいってなって終わって解散みたいな、井戸端会議だ。

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 なので、自民党が本気で腹くくって憲法改正するというなら我々は一緒になってやるが…。もちろん改憲項目は違うと思うが、自民党はそれはやらないと思う。とくに岸田政権はよりいっそうやらないと。自民党は改憲が党是だというが、やらない。産経新聞さんはぜひそこをよく注目して見といてください。改憲推しの産経新聞さん。僕はそれが本質だろうと思っているので、ちょっとここは残念な部分なのだが…。総理総裁の首飛んででもやるというくらいの腹が自民党にあるかといえばない。

 ――後、緊急事態条項についてはどういう考えなのか。

 吉村知事(維新副代表) だからどういう条項が出てくるかっていうのはわからないので、今の段階では評価できない。なので、我々は緊急事態条項は掲げていない。ただ、これは自民党が本気で緊急事態条項を掲げるのであれば、緊急事態条項と特に自衛隊。自衛隊についてはもう今でも違憲という憲法学者がほとんどなので、ここについてどうするのか、本気で自衛隊のことを考えるということであれば、死に物狂いで憲法改正ぐらい提案しないと、自衛隊出身の議員もいて自衛隊を、なんていうのかな、便利使いするなとかいうのはいいのだが、じゃあその違憲といわれている状態を解消するために本当に腹くくって、ある意味、政治生命懸けてでもやっているのかと、僕らから見るとそういうふうには見えない。一部の保守層のなんかガス抜きに言ってるようにしか見えない。

 僕はこれ、批判するために言ってるわけじゃなくて、僕らは都構想でやってきましたから。で、もう大将の首2つ取られてるわけです、この住民投票で。その気迫が自民党にありますかと。ないと思っています。だから党是と言いながらも実際はその気はないのだろうなと思っているので、あまり40人しかいない維新が一生懸命言っても動かないだろうなと。維新も便利使いされるつもりはまったくありませんので、その自民党のやるやる詐欺に付き合うつもりはないです。ただ本気で、本気で自民党が憲法改正をやるなら付き合います。

 改憲に前のめりなのは、維新副代表の吉村知事だけではなかった。同日記者会見をした維新代表の松井一郎・大阪市長も「憲法改正の国民投票を来夏の参院選の投票と同日に実施すべきだ」と主張したのだ。

 総選挙中は自民党との違いを強調する野党として振る舞い、投票結果が出た後は自民党以上の改憲推進姿勢を打ち出す維新は、まさに「二枚舌政党」「第二自民党安倍派」などと批判されても仕方がないのではないか。4倍増で発信を強める維新の言動から目が離せない。

 

 

(了)

【ジャーナリスト/横田 一】

(前)

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