2022年05月25日( 水 )
by データ・マックス

【一問一答】吉村洋文大阪府知事に聞く「リニア中央新幹線問題」、「憲法改正」(前)

 与党か野党が不明瞭な「ゆ党」こと日本維新の会が総選挙で41議席へと約4倍増をした途端、第二自民党安倍派のような本性を露わにし始めた。安倍政権が3兆円融資したリニア中央新幹線の見直しには無関心な一方、岸田政権(首相)が安倍元首相ほど熱心ではない憲法改正には前のめりの姿勢を示したのだ。

 投開票翌々日の11月2日、維新副代表の吉村洋文・大阪府知事は、川勝平太・静岡県知事が見直しを訴えるリニアなどに関する私の質問に対し、次のように答えたのだ。

 ――「リニアの大阪延伸が大幅に遅れる恐れがある」という視点で聞きたいが、川勝平太・静岡県知事はトンネル工事について「JR東海の方式だと住民の理解が得られない」「当分トンネル工事は認めない」と主張して膠着状態が続いて、川勝知事は当選したばかりなので、4年近くこの状態が続く恐れがあるが、こういう現状認識をどう見ているのか。川勝知事は、「南アルプスのど真ん中をトンネル掘るのではなくてルートを変える、迂回する」ことも言っているが、こうした代替案の提案をする考えがあるのか。

 吉村知事 静岡県とJR東海で協議をじっくりとしていただいて解決してもらいたいと思う。現時点で何かルート変更を考えているということはない。

 ――4年間近く膠着状態が続いて(リニアの大阪)延伸が遅れるという現状認識はもっていないのか。

吉村洋文・大阪府知事

 吉村知事 膠着状態がそういうふうに続かないように丁寧な協議を迅速に行ってもらいたいと思っている。

 維新副代表の吉村知事に、国家的プロジェクトのリニア中央新幹線問題について聞いたのは、いくつもの理由がある。延伸先の大阪府知事であるのはもちろん、総選挙で4倍増をした政党幹部でもあり、コロナ対応で最も評価される政治家のトップ(2020年5月23日の毎日新聞の世論調査)に輝くなど大きな発信力を持つ存在でもあるからだ。

 総裁選で“安倍忖度政権”であることが露わになった岸田政権(首相)がリニア推進を続けることが明らかな中、議席増で勢いづく吉村氏が膠着状態のリニア計画に一石を投じる見直し発言をするかもしれないと思って質問したのだが、当たり障りのない回答しか返ってこなかった。

 リニアトンネル工事が抱える問題点(法律改正や規制強化の必要性)についても聞いてみたが、古き自民党土建政治を変えようとする意気込みは伝わって来なかった。

 ――後、川勝知事が問題にしているのは、熱海の土石流の7倍の盛り土がリニアのトンネル工事で出ることで、「国レベルで盛土に関する規制強化が必要だ」ということも訴えているが、(盛土)規制強化の必要性についてはどう考えているのか。

 吉村知事 盛土については盛土の問題として当然、今、大阪府でも対応しているし、対応していきたいと思う。リニアの工事、それから静岡の事情についてはもう静岡県と国、そしてJR東海でしっかり協議してもらいたいと思う。

 ――全国的な盛土規制強化の必要性についてはどう考えるのか。

 吉村知事 それは国で決まったことについて大阪府としてしっかり進めていく。

 盛土(残土)規制強化については、全国一律で規制強化をしないと、規制が緩い地域に投棄が集中する弊害が指摘されている。熱海土石流の被害者が野党合同ヒアリングで全国一律の盛土規制強化を求めたのはこのためだが、維新は、住民の安心安全を守る法律づくりには不熱心のようなのだ。

 地権者の同意なしで地下深いトンネル工事を可能とする「大深度法」改正への熱意も感じられなかった。調布市の住宅地に陥没被害を与えた外環道トンネル工事によって、「地下深いトンネル工事は地上に影響を与えない」という法案成立時の前提が崩れた。そのため、地権者の事前同意などの大深度法改正が不可欠であるのは不可欠なのだ。こうした問題意識から吉村知事に次のような質問をしたのだ。

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 ――大深度法改正の必要性はどう考えているのか。(リニアが)大阪に延びてくるときに、いずれトンネル工事で地上の地権者、住宅地が損傷を受ける恐れがある。

 吉村知事 トンネル工事については、もちろん安全に進めていくのが、科学的な基準に基づいて安全に進めていくのが当たり前の話なので、その基準に基づいて進めていく。

 古き土建政治には不都合な「盛土規制強化」や「大深度法改正」には不熱心な一方、安倍元首相が熱心な憲法改正に対しては岸田首相よりも熱心な回答が返ってきた。

 

(つづく)

【ジャーナリスト/横田 一】

(後)

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