2022年01月25日( 火 )
by データ・マックス

【BIS論壇No.360】コロナ後のユーラシアビジネス戦略

 NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
 今回は2021年12月1日の記事を紹介。  

ユーラシア イメージ 「CHINDIA」――21世紀はCHINDIA(中国・インド)の時代。21世紀前半は中国、後半はインドが活躍する時代と言われている。「アジアにおける仮想現実国家・中国(Virtual States of China)」「目に見えない中国国家(Invisible States of China)」(どちらも筆者の造語)。中国の華僑・華人4,000万人がアジアに散在している。血縁・地縁・業縁の三縁で結束が固い。例えば、インドネシアでは人口の約2%、500万人近くが居住しているが、ビジネスの80%を占めているとの見方もある。商業分野のみならず、インドネシア・マレーシア・タイ・シンガポールなどでは華僑系の政治家が活躍している。

 「RCEP」(東アジア地域包括的経済連携)はアセアン、豪州・ニュージーランド、日中韓の15カ国が2020年11月15日に締結し、22年1月に発効を予定している。世界最大の自由貿易圏となる。世界人口、GDP貿易額のそれぞれ30%を占める。コロナ後のデジタル、グリーン、ヘルス&メディカルレボリューション、AI、Eコマース、サプライチェーンなどの中心になるとみられている。米中貿易戦争やコロナ禍を乗り越えるべき地域で、世界のFDI(海外直接投資)の半分を占める21世紀の発展地域である。日本としてもポスト・コロナの重要戦略地域だ。

 22世紀はアフリカの時代(日本政府主導のアフリカ開発会議(TICAD)を参照)。アフリカには印僑1,000万人が居住していることから、インドの関与が強まりそうだ(中国は100万人)。日本の「インド太平洋構想」のインドを経由した「アフリカ市場開拓戦略」は、推進することが望ましいと思われる。

 「一帯一路」のユーラシアは地球上の陸地の40%、人口の72%を占める。アフリカの37%を含めるとアフロ・ユーラシア大陸で77%を占め、21世紀、22世紀の世界経済の戦略発展地域となる。アフロ・ユーラシアでのビジネス拡大が志向されるゆえんである。

 「一帯一路」への融資については、「AIIB(アジア・インフラ投資銀行)」(資本金:1,000億ドル、本店:北京)、中国の「Silk Road Fund」(資本金:500億ドル)、「BRICS銀行」(本店:上海)が発展途上国への融資に関与し、協調融資も活発である。

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 日本はこれらの協力に消極的であるが、「一帯一路」は世界で唯一、長期の戦略的な広域経済開発構想であり、ポスト・コロナのグローバル戦略として日本も対応を前向きに積極的に考究すべきである。

 日本の政治、経済、教育などの衰退はいかんともしがたく、近年の有力企業(三菱電機、東芝、みずほ)などの不祥事は日本企業の衰退を明示している。今こそ渋沢栄一の「論語と算盤」の倫理、道徳をポスト・コロナの企業経営に取り入れるべき時だ。

 データエコノミー、ビッグデータ、AIの時代を迎えるなか、情報の倫理的な収集・分析・活用により、危機管理やサイバー攻撃に備えるべきである。そのためには、国内外の情報、技術情報、健康情報、ビジネス情報をこれまでの3倍収集し、分析・活用することを心がけるべきである。「情報、知識は力なり」の至言を心に留めてほしい。


<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)

 鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)

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