和洋混在の炭鉱王の邸宅「旧安川邸」、隣接の旧松本家住宅とのシナジー図れるか?
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西日本工業倶楽部が運営事業者に
この旧安川邸の元々の所有者であった安川電機は、15年の創業100周年を契機に、旧安川邸の活用策を北九州市と協議。16年度から北九州市と安川電機が共同で「旧安川邸利活用事業」を実施し、北九州市の新たな観光拠点として整備・活用を図ることになった。事業の実施にあたっては、国の地方創生拠点整備交付金を活用して夜宮公園を拡張するかたちで公園施設として整備し、その運営および維持管理については民間事業者に委託する方針を決定。安川電機も17年2月に、建物群を市に無償譲渡するほか、敷地を無償貸与し、ギャラリー整備や周辺の緑化費用などとして市に1億円を寄付した。その後、旧安川邸の耐震工事や内部改修、庭園整備などは21年3月に完了。敷地全体が隣接する夜宮公園の一部に組み入れられて都市公園となり、大型連休や紅葉の時期などの期間限定・定員制・要予約で、一般公開もされるようになった。
一方で、旧安川邸施設の管理運営(指定管理業務)および飲食事業を一体的に実施する事業者の公募については、21年7月に要項が公表された後、10月に提案書受付および検討会が行われ、11月に(一社)西日本工業倶楽部が優先交渉権者に決定した。西日本工業倶楽部は現在、旧安川邸の南側に隣接する旧松本家住宅(国の重要文化財)の管理・運営などを手がけており、選定理由として「類似施設での実績も充分」「旧松本家住宅との連携による集客が期待できる」などが挙げられた。21年12月議会の議決を経た後に事業実施協定が締結される予定で、事業期間は27年3月末まで。
旧松本家住宅は、敬一郎氏の二男で、父とともに炭鉱で安川財閥を築いた実業家・松本健次郎氏の自宅兼迎賓館だった邸宅。歴史的に旧安川邸との関係も深く、隣接する2つの施設を連携して一体的な管理・運営が行われることで、双方にとってのシナジー効果も期待できる。近代日本および北九州市の工業化の立役者となった親子2人の邸宅が今後、北九州市の新たな観光拠点として、賑わい創出や活性化に寄与できるか――。管理・運営を委託される、西日本工業倶楽部の手腕にかかっている。
【坂田 憲治】
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