2022年06月27日( 月 )
by データ・マックス

保健機能食品制度の行方(3)トクホ制度の見直し

「機能性表示食品」「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」で構成される保健機能食品制度。前回までは機能性表示食品制度が抱える課題を検証してきた。3回目は、トクホ制度見直しの方向性について解説する。

トクホ制度の凋落

トクホ 烏龍茶 イメージ    トクホ制度は1991年に創設。当時、食品の機能性をうたう制度として世界最先端と評価された。だが、2015年に機能性表示食品制度が登場したことで、トクホの許可件数は減少。昨年末時点で機能性表示食品の届出4,898件に対し、トクホの許可は1,068件。勢力は完全に逆転し、その差は広がる一方だ。

 現状を見ると、トクホは一握りの大手企業のための制度となっている。業界内では「一定の役割を終えた」という見方もある。

 トクホ制度を所管する消費者庁や審査する消費者委員会では、トクホの凋落ぶりを懸念する。しかし、機能性表示食品制度の導入が決まった瞬間から、トクホの衰退は不可避な流れだったといえる。

 その最大の理由は費用と時間。トクホは許可取得に億単位の費用と、2~3年の歳月を要する。一方、機能性表示食品の届出は中小企業も手を出せる低コストで済み、50日程度で公表される。企業にとって、発売時期を計算できることはビジネス面で重要となる。

 トクホ衰退のもう1つの理由は、両制度の役割がダブっていること。機能性表示食品がカバーする範囲は構造・機能表示(身体の構造や機能に影響する旨の表示)であり、トクホの大部分と重なっている。

 消費者庁や消費者委員会がトクホの復活を期待するのは、企業責任による機能性表示食品よりも、国が許可するトクホのほうが信頼できると考えているからだ。

 一方、消費者にとっては、どちらの制度も似たり寄ったりというのが正直なところ。消費者庁が昨年7月に公表した「食品表示に関する消費者意向調査報告書」によると、トクホが国の許可によるものと理解していた消費者は、全体の3分の1に過ぎなかった。トクホと機能性表示食品の違いを理解している消費者は限定的とみられる。

22年度に調査事業、23年度に検討を本格化

 消費者庁は、昨年度の検討会でまとまった「特定保健用食品制度(疾病リスク低減表示)に関する今後の運用の方向性」で示された課題に対応するため、22年度に調査事業を実施する。早ければ22年度中、遅くても23年度には検討作業が本格化するとみられる。

 示された課題は、トクホ制度全般に関わる考え方。これまでトクホ制度は改正を重ねてきたが、検討会では制度創設以降に見られる我が国の健康・栄養政策などの状況変化を踏まえることが指摘された。消費者庁の担当官は、この点も含めて検討すると説明している。各論については決まっていないという。

トクホと機能性表示食品のすみ分け

 トクホ制度の改正に向けた検討は、機能性表示食品とのすみ分けを念頭に置いたものとなりそうだ。

 トクホ制度を細かく分けると、「トクホ」「規格基準型トクホ」「疾病リスク低減表示」「再許可などトクホ」「条件付きトクホ」の5つがある。

 5つのうち、機能性表示食品ではカバーできないのが「疾病リスク低減表示」。これは「骨粗鬆(しょう)症になるリスクを低減するかもしれない」など、具体的な疾病名を挙げて、そのリスク低減の効果を表示できるというもの。機能性表示食品は構造・機能表示に限定されるため、一歩も踏み込めない領域だ。

 両制度のすみ分けという観点からは、トクホだけに許されている疾病リスク低減表示の拡充が最大のテーマとなる。

(つづく)

【木村 祐作】

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